白い花びら 教材分析115

教材分析
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つばさ
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白い花びら」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、3年生の教科書に載っている「白い花びら」の教材分析をします。

白い花びら:教材分析

🟠白い花びら:教材分析

 この作品は、教育出版の3年生の教科書に載っています。 

<作者>

 やえがしなおこさん

 鈴木びんこ(すずき・びんこ)さん

 出典:この教科書のために書き下ろしされました。

 やえがしなおこさんについて

 1965年(昭和40年)生まれです。日本の児童文学作家です。

 大阪府生まれです。

 立命館大学文学部を卒業されました。現在は、岩手県北上市に住んでいます。

 松谷みよ子さんが責任編集をされていた「びわの実ノート」童話教室で童話を学ばれました。

 やえがきさんは、この同人誌の27号から終刊の33号まで同人でした。全国高校生童話大賞の審査員をされています。

 2000年「山のうえのガラー」で、第53回岩手芸術祭児童文学部門芸術祭賞を受賞しました。

 2003年「かや野のきつね」で、第56回岩手芸術祭児童文学部門奨励賞を受賞しました。

 2005年「雪の林」(ポプラ社・2004年)で、第15回椋鳩十児童文学賞と第23回新美南吉児童文学賞を受賞しました。

 主な著作に「くまのごろりんシリーズ」(岩崎書店・2011-2013年)、「ならの木のみた夢」(アリス館・2013年)などがあります。

<題名>

 題名は「白い花びら」です。

 題名から、どこかに白い花びらがあるお話ということがわかります。

 多くの子どもは、花が好きなので、どのようなお話か興味をもつと思います。

<設定>

 いつ(時):春のある日。

 どこ(場所):林の中へつづく道。

 だれ(登場人物):かずきとゆうた。

<人物>

 ゆうた……主人公。どちらかというと消極的な性格。

 かずき……ゆうたの友だち。ゆうたに比べると、積極的な性格。

 女の子……ふしぎな女の子。どこからともなく現れる。

<あらすじ>

 後程、付け加えます。

<場面>

 この物語は、場面と場面の間に1行空きで、4つの場面に分けて書かれていますので、場面を4つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

①  ゆうたとかずきが野原を見つけた後、一人のこったゆうたは、女の子を見かけた。

②  かずきが見つけた岩に乗り、ゆうたは馬に乗っている気分になったが、女の子が気になった。

③  日曜日、ゆうたは一人で野原に行き、女の子といっしょに馬になった岩に乗ってたのしんだ。

④  一週間後、ゆうたとかずきが野原に行くと、女の子がいたところでさくらの花がさいていた。

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<人物の会話>

 このお話に出てくる主な登場人物は、ゆうたとかずきと女の子の3人です。

 ですから、会話文もこの3人の誰かがは発した言葉です。

 ゆうたに比べると、かずきは積極的で、自分の思い通りにどんどん進めていきます。そのことは、次のようなかずきの会話からもわかります。

・「たんけんしよう。」

・「おうい、早く来いよ。」

・「ここ、ひみつきちにできるな。ちょっと、あっち見てくる。」

・「ゆうた、こっちに来て見ろよ。」

・「これ、動物みたいに見えるだろ。」

・「乗りごこち、いいぞ。乗ってみろよ。」

 かずきは、ゆうたに話しかけているみたいに見えますが、あまりゆうたの反応を気にしている様子はありません。

 もう一人の人物である女の子の様子も会話からわかることがあります。

・「長い冬だったね。やっと春が来たね。」

・「新しい家は、もう見つかった?」

 どうやら、女の子は、林や鳥にむかって話しかけているみたいです。

 日曜日に出会った時の女の子は、ゆうたに積極的に話しかけてきます。

・「ここ、気に入ったのね。」

・「乗らないの?」

・「しゅっぱつするよ。」

・「乗れないの?」

・「またね。また会おうね。」

 かずきに比べると、女の子は、きちんとゆうたの反応を確かめながら、話をしています。

 この2人に比べると、ゆうたの会話は、独り言が多いです。会話の表記の仕方も、かぎかっこではなく、縦棒です。

ーどうしよう。

ーあの子、鳥と話してるのか?

ーぼうけんのたびの、主人公みたいだ。

ーでもあの子……。

ーあの子、いったいだれだったんだろう。

<人物の行動>

 行動からも性格がわかることがあります。

 例えば、岩に乗るかずきとゆうたの行動から、二人の性格や様子などがわかります。

・かずきは、ひらりと岩にまたがった。

 このことから、かずきは、運動が得意な様子がわかります。かずき比べて、ゆうたは少し手間取っています。

・岩は思ったより大きくて、ゆうたは、登るのにちょっとくろうした。

 女の子のふしぎな様子も行動からわかることがあります。

・ゆうたは、目を大きく開けた。女の子のかみの毛が、ひらひらゆれて、その先から、花びらが雪のようにふってくるのだ。まわりが、ぼうっと白くなってきた。女の子のすがたが、だんだん小さくなっていく。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 この物語の主題は、ゆうたが春先に出会った不思議な体験なのかもしれません。

 ゆうたが出会った林や鳥に話しかけている女の子は、どうやらさくらの木だったみたいです。 

 このお話を読み、学級で主題について自由に話し合ってみるという学習活動を計画するのも楽しいものになるかもしれません。

<表現の工夫>

 このお話での表現の工夫の一つは、不思議な女の子の正体が少しずつわかるように描かれていることです。

 ゆうたが最初に出会った時の女の子は、林と話をしています。

・すぐそこで、女の子が一人、林にむかって話しかけている。

 ゆうたに気づいた女の子は、ゆうたにやさしく接しますし、においがヒントになります。

・同時に女の子がふり返った。おどろいたような目でゆうたを見て、そして、にこりとわらった。日だまりの中で、ふわりと花のようなにおいがしたな、と思った時。

 日曜日、女の子と岩の馬に乗って遊んでいる時、ゆうたは不思議な体験をします。

・前を走っていた女の子を一気にぬこうと思った時、ゆうたは、はっとした。風に乗って、何か白いものがとんでくる。

ー雪? ちがう、花びらだ。

 そして、女の子は急にいなくなります。そして、そこに残っていたのは・・・。

・ゆうたは、ぼんやり前を見た。ひざの上では、白い小さな花びらが、ゆめのつづきみたいに光っていた。

 最後に女の子の正体がわかります。一週間後、野原でかずきが次のように言います。

「さくらの木だ。」

 同時にゆうたも顔を上げた。目の前で、一本の木が、花をいっぱいにさかせている。

ーさくら……。あの子がさいしょに立っていたところだ。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️ ⭐️

 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

モチモチの木 教材分析019に進む内部リンク

おにたのぼうし 教材分析018に進む内部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

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