声の大きさを調整できるのはとても大切です。
子どもには、さまざまなことをマナーとして教えたいと思います。
多くのマナーは、家庭で親や保護者が子どもに教えるのが一般的です。
しかし、時には、学校で教えた方がよいこともあります。
今回は、「声の大きさ」について書きます。
声の大きさ:マナー教育
🟠声の大きさ:マナー教育
<学校と家庭との違い>
学校生活と家庭生活の大きな違いのひとつに、そこにいる人の数の違いがあります。
学校には、小規模校を除いて、たくさんの人がいます。
学級には、子どもだけでも35名や40名近くの子どもがいることがあります。
大家族でない限り、10名を超える家族がいることは少ないと思います。
子どもは、学級での授業中、時には、何十人のも友だちを相手に話をしなければいけないことがあります。
家で出すのとは、まったく違う大きな声を出す必要が、時にはあります。
子どもの中には、場面緘黙の子どももいますので、配慮する必要はありますが、ある程度大きな声を方法を身につけさせることも必要です。
<自分の声の大きさを意識させる>
子どもの中には、学級でどのぐらいの声の大きさを出せばいいのかわからないこともあります。
自分の声の大きさを意識するために、効果的な方法をとっている教員の指導法を見たことがあります。
1分間スピーチなどの際に、話す子どもを教室の前に立たせることはよくあると思います。それだけではなくて、日直の子どもなど、話す子どもではない子どもを教室の後ろに立たせていました。そして、話す子どもには、教室の一番後ろにいる子どもに向かって話をさせていました。後ろに立っている子どもが聞こえていれば、スピーチする子どもの声は聞こえることになります。
1分間スピーチの司会は、後ろに立っている子どもがするようにしていましたので、教室の後ろの子どもの声も前にいる子どもに聞こえているかわかります。
まずは、自分の声が、きちんと届いているかどうかを意識させるようにしていました。このような指導はとても大切だと思います。
<声を大きくする方法>
大きな声を出す具体的な方法を子どもに教えることも大切です。
声は、喉で空気の振動を起こすことで相手に届きます。
ですから、大きな声を出すためにはいくつかのポイントがあります。
1つめは、口の中を大きくすることです。「あくびをするように、口を開けてごらん。」というと子どもには、わかりやすいかもしれません。口を大きく開けて声を出すようにすると、声が大きくなります。
2つめは、口先ではなく、胸やお腹などから声を出すことを意識させることです。胸やお腹に手を当てて声を出すようにさせるのもいいかもしれません。あるいは、ストローをくわえて、5秒程度「ウー」というようにすると、自然とできるようになることもあります。
<声の大きさを調整する>
ここまで、子どもの声を大きくすることばかり書きましたが、実は、声の大きさに関して大切なことは、大きな声を出すことだけではありません。
それよりも大切なのは、適切な声の大きさで話すことです。
小学校の教室には、よく声の大きさを示した「声のものさし」と呼ばれる掲示物が貼ってあることがあります。
子どもに身につけさせたいマナーとしては、場と状況に合わせた声の大きさで話ができるようになることです。
以前、勤めていた学校で、「声は、大きければ大きいほど、いいことだ」、という少し変わった認識をもっていた教員がいたことがあります。
その学校では、給食をとりに行く際、自分のクラス名を伝え、給食調理員さんにお礼を言うことにしていました。
その教員が担任しているクラスでは、その際も、普通の声の大きさではなく、みんなが怒鳴るように大きな声を出していました。
元気でよさそうですが、これはあまりほめられた指導ではありません。
大切なのは、大きな声を出して感謝の言葉を言うことではなく、相手にきちんと感謝が伝わるような声の大きさで感謝の言葉を言うことができるようになることです。
<騒がしいクラスの指導>
子どもは、指示をしないで、しばらくほっておくとすぐにおしゃべりを始めます。もっとほっておくと、だんだん大きな声に変わります。時には、騒がしくなり、収拾がつかなくなることがあります。
あまり経験のない教員の場合は、このようなお喋りを止めようとすると、大きな声で注意をしてしまいがちです。
でも、これは逆効果です。
学級が騒がしくて仕方がない時に、それを止めようと、教員がさらに大きな声を出すと、困ったことに、普段から騒がしい落ち着きのない学級になってしまいます。
ベテランの教員の場合は、もっと手前でいろいろな手立てをとりますが、若い教員や経験のあまりない教員の場合は、どうしたらいいだろうと戸惑っているうちに、教室が騒がしくなっています。
では、どうすればいいのでしょうか。
私は、このような時、いくつかの方法をとりました。
1つは、静かになるまで黙って待っていました。でも、この方法では、静かになるまで長い時間がかかることもありました。
そこで、もう1つの方法として、大きな声を出すように、大きくを口を動かしながら、声が出なくなるふりをしていました。しばらくすると、何人かの子どもが、その不思議な先生の様子に気づき始めます。
先生は、口を動かしているのに、声が出ていません。時々、首を傾げています。本当に先生の声が出ないのかな、それとも、わざと声を出さないようにしているのかな、と不思議に思うようになる子どももいます。そのうちに、近くのおしゃべりをしている子どもを注意する子どもも出てきます。その時も声を出すのではなく、指で先生の方をさして注意している子どもも出てきます。
このような方法で、だんだんと静かになることもあります。
学校では、声を出すことはとても大切です。
時には、話す時の間を意識したり、沈黙を大切にしたりすることも必要だと思います。
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