ノンフィクションを読むのも面白い読書体験だと思います。
読書をすることはとても意味のあることです。
今回は、光村図書の4年生の教科書に載っている「事実にもとづいて書かれた本を読もう」という単元の学習についてです。
事実にもとづいて書かれた本を読もう
🟠事実にもとづいて書かれた本を読もう
この単元は、光村図書の4年生の教科書に掲載されている単元です。
<事実にもとづいた本>
子どもたちが読むことの多い本は、やはり物語が多いと思います。
子どもたちが日々読んだり、図書室で借りたりする本は、物語が多いです。
しかし、本には、いろいろな種類の本があります。
そのような本の中に、今回この単元で取り上げられている事実にもとづいて書かれた本(ノンフィクション)があります。
ノンフィクションの本には、いろいろあります。
・ドキュメンタリー:出来事や取り組みなどを記録したもの。
・ルポルタージュ:筆者が聞きしたことを報告するもの。
・伝記:人物がどのように生きたかを描いたもの。
教科書には、この3つが載っていますが、事実にもとづいて書かれた本には、次のようなものもあります。
・インタビュー:二人かそれ以上の人の間での会話をまとめたもの。主に一方が他方に対して情報を得るために質問をする。
・旅行記:旅行中に見聞きしたことや感想をまとめたもの。紀行文ということもある。
・歴史書:歴史上の出来事を事実に基づいて書いたもの。
<図書の時間の扱い>
多くの小学校では、図書の時間が、他のクラスと重ならないように設定されていることが多いと思います。
4年生は、国語の時間が年間245時間あります。35週で割ると、国語の時間は週に7時間あります。週に7時間ある国語の時間のうちの1時間を、図書の時間として割り当てている学校や学級も多いかもしれません。
しかし、その図書の時間を全く自由に子どもが好きな本を読む時間にするのは、個人的にはあまりよいとは思いません。
確かに、自分の好きなものを読むというのは、興味が持続しやすいですし、子ども熱中することも多いです。
ただ、当たり前のことですが、子どもに全て選択を任せていると、多くの子どもは、物語などの自分の好きな種類の本ばかり選ぶことになります。
読む力を育てるためには、それでもよいのでしょうが、子どもたちにいろいろな経験をさせるということから考えると、時には、教員が「図書の時間」に読む種類の本を設定する日があってもよいと思います。
例えば、詩の学習をした時には、いろいろな詩集を用意しておいて、詩集を読む時間にするのです。ある作家の書いた物語を読んだ時などは、その作家の本を集めておいて、「○○さんの書いた本を読もう」という時間を設定するのです。
日頃からそのような日を設けていると、今回の学習をするときに「事実にもとづいて書かれた本を読む時間」を設定することは比較的簡単だと思います。
<ポップ>
最近、多くの書店などで、本を紹介する方法としてポップを本の横に添えていることが増えています。
ポップ(POP)というのは、「Point of purchase」(購買する場所)の頭文字から取った略語です。店員がお客さんに向けた広告という意味があります。ポップは、主に紙に書くことが多いです。
ここでは、少しポップの歴史について説明します。
お店で店名や商品などを宣伝する方法は昔からいろいろあります。「お店の看板」「のぼり」「のれん」「ちょうちん」などが代表的なものでしょう。
日本でも少し前までは、ものを売る場合、対面での販売が主流でした。例えば、魚なら魚屋さんへ、肉なら肉屋さんへ、野菜なら八百屋さんへといったように専門の販売店で買い物をするのが普通でした。
しかし、1930年代にアメリカで初めてスーパーマーケットができ、1950年代に日本でも多くのスーパーマーケットが普及し始めたことで状況は大きく変わりました。
スーパーマーケットでは、魚や肉、野菜以外にもお米やパン、日用品など取り扱う商品はたくさんあります。それぞれの商品を販売する棚に専門の店員さんを配置することは非効率です。そこで、店員さんの代わりに商品の説明をする広告として、ポップが生まれました。
<岩手県さわや書店の試み>
特に、本屋さんや書店では、書店員さんが自分の気に入った本について、ポップを書き、新しい本やお薦めの本を紹介するという文化が発展しました。
ポップを本に添えるという方法はいろいろな本屋さんや書店で行わています。
この書店で本にポップを添えるという方法で有名なのは、岩手県盛岡市を中心に12のお店を開いている「さわや書店」です。盛岡駅ビルにあるさわや書店のフェザン店では「文庫X」という方法を考えました。「普通に並べても売れない」本の表紙を隠して売るという方法を、2016年に(平成28年)に始めました。
ある文庫本の表紙をカバーで包み、書名や著者名を隠して売り場に並べました。そして、そこに次のようなポップをつけました。
大きな文字で「どうしても読んでほしい810円(税込み)がここにある。」そこに少し小さな文字で「これまで存在しなかった衝撃と感動をお届けします。」そして、この大きなポップの横には、「これが文庫Xです。」という小さなポップも添えられています。
この方法は、多くの人の関心を呼び、初日から買う人がたくさんいました。そして、わずか4か月半で5034冊も売れたそうです。しかも、この企画には全国でも真似したいというお店が現れ、650以上の書店で「文庫X」の企画が行われ、合計30万部を超えるベストセラーとなりました。
なお、文庫Xの話は、「日本商工会議所」の「こうしてヒット商品は生まれた! 文庫X」という記事を参考に書きました。
こうしてヒット商品は生まれた! 文庫Xに進む(外部リンク)
<ポップや帯を使った本の紹介>
本を紹介する方法には、本にポップを添える方法や、本の帯をつけるという方法があります。
今回紹介してお話を子どもにすると、子どもたちはポップにもっと興味をもつかもしれません。
ポップや帯で本を紹介する場合、本の中の「心に残った文を引用する」という方法もありますし、「キャッチコピーを考えて書く」という方法もあります。
「本の内容を簡単に書く」という方法も一般的です。
ポップや帯をつけた本は学級内に置いて互いに読み合うということもできるでしょうし、司書教諭などと相談して、学校図書館に置くこともできるかもしれません。
ただ、学校図書館に置いて、低学年に対してもポップや帯を添えた本を紹介する場合は、どの学年の子どもでも読めるように、漢字には読みがなをつけるように助言するとよいでしょう。
なお、この単元に載っている「ランドセルは海をこえて」という文章の教材分析を次のページに載せています。
ランドセルは海をこえて 教材分析061に進む(内部リンク)
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あわせて読書に関係する文章もお読みください。
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