机間指導:教育用語③

教育用語
つばさ
つばさ

机間指導について知りたいです。

 学校の中には、教職員で行う特別な用語がたくさんあります。

 今回は、そのような教育用語の中の「机間指導」について書きます。

机間指導

🟠机間指導

<机間指導とは?>

 机間指導(きかんしどう)とは、授業中に教師が子どもの机の間をまわって指導したり助言したり、子どもの理解度を把握したりすることです。

 子どもの理解度には、大きな差があります。日本の学校は、諸外国に比べると、まだまだクラスの人数が多いのに、授業を担任一人で進めていくことが一般的です。普通に一斉授業を進めているだけでは、どうしても理解の浅い子どもができます。

 全ての子どもがその授業を理解し、指導者が与えた発問などについて考えたり、指導者が出した問題を解いたりする際に、十分にわかっていない子どもに助言などの支援をしたり、どのようにすればわからない子どもに具体的な手立てを助言したりします。

<机間指導の役割①:子どもの考えを把握すること>

 机間指導は、子どもの状況をつかむことが大きなねらいとなります。一斉授業の場面では、子ども一人一人がどこでつまずいているのか、どんなことを考えているのかということを把握することがとても難しいものです。

 個人的に机間指導の役割は、大きく2つあると考えています。

 1つは、子どもの考えを把握することです。

 例えば、4年生の国語の授業で「ごんと兵十は、心が通じ合ったのだろうか?」という発問をしたとします。

 いきなり子どもを指名して発言することはありませんから、子どもには、考える時間を与えることが一般的です。

 しばらく待ってから、子どもを指名することにします。その時、子どもが挙手した順に適当に指名すると、どうなるでしょうか?

 きっと、子どもはそれぞれ、思い思いの考えを自由に発表することになります。心が通じたという考えと通じなかったという考えがばらばらに発言されることになります。子どもが口を開くまで何を言い出すかわからないままでは、計画的意図的な指名はできません。

 でも、前もって子どもがどのような考えもっているのか把握しておくと、最初は、心が通じなかったという考えをもつ子どもから、指名することができます。その上、その理由について、なんとなくそう思っている子どもと、文章から、その子どもなりの根拠をもって意見をもっている子どもがいた場合、どちらから指名するとよいでしょうか。

 機間指導をして、ノートやワークシートなどを読むことで、子どもの考えを知ることができます。子どもの考えをきちんとわかった上で、授業を進めた方が、授業はスムーズに進みます。

 明石家さんまさんの出ているテレビ番組に「踊る!さんま御殿!!」という番組があります。毎回あるテーマについてゲストの話を聞き、その話をさんまさんは面白おかしいトークにしていく番組です。その際、司会のさんまさんは、前もってゲストが回答したアンケート用紙に書かれた紙を見ながら、順に指名しています。前もった予めゲストがどのような発言をするのかを司会のさんまさんは、把握しています。

 さんまさんが教師、アンケート用紙に書かれた内容が、教師が机間指導して得た子どもの考えと考えると、わかりやすいのではないでしょうか。

 やみくもに指名してもなんとか授業は進んでいくと思います。しかし、前もってきちんと子どもの考えを把握した上で、授業を進めた方が、限られた時間の中で深い話し合いができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

<机間指導の役割②:戸惑っている子どもに適切な支援をすること>

 個人的に机間指導の役割は、大きく2つあると考えています。

 2つめの役割は、子どもに適切な支援をすることです。

 子どもの理解には違いがあります。

 家庭で親や保護者から適切な支援を受け、本を買い与えられたり、ドリル教材を与えられたり、学習塾に通い学校で学ぶ前から、既に多くの知識を得ていたりする子どももいます。親や保護者は、日々の生活に忙しく、家で宿題もしないでテレビを見たりゲームばかりしたりしている子どももいます。当然、子どもの理解度や学習へ取り組む様子には違いがあります。

 教師がある発問をして、すぐに自分なりの考えを思いつくことができる子どももいます。しかし、中には、教師が何を尋ねているのかよく分かっていない子どももいます。

 机間指導の大きな役割は、授業に戸惑い、何をすればいいかわかっていない子どもを見つけ出し、具体的な助言や支援をしたりすることでもあります。

 学習課題に対して、どこでつまずいているのか、どこまで理解しているのかなどをつかんで個別に支援をすることも机間指導の大きな役割の1つです。

 また、子どもの中には、自分の考えを発言したいのだけれども、自信がなくてどうしようか迷っている子どももいます。

 そのような子どもに、「この考えいいから、後で発言してね」と声をかけておくと、子どもは自信をもって手を挙げ、発言することができます。

 机間指導を通して、子ども一人ひとりに、適切な肯定的な言葉がけをすることによって、子どものやる気が意欲を育てることもできます。

<机間指導を大切にした授業>

 机間指導は、授業のねらいに合わせて、すべての子どもの学習が適切に進んでいるかを把握し、教師の指導に関して改善することはないか判断する時間でもあります。

 机間指導をしていると、自分の考えをノートに書く時間を、当初は5分と予定していたが、もう少し増やす必要があることなどがわかることがあります。学習計画を変更すべき点はないかなどという観点から判断をする極めて大切な指導の場面でもあります。

 机間指導をすると、計画的な指名が、大切に感じることもあります。

 「指名」については、次のページもお読みください。

挙手だけに頼らない指名をするに進む内部リンク

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 なお、関係する言葉については、次のページをお読みください。

発問:教育用語①に進む内部リンク

板書:教育用語②に進む内部リンク

挙手だけに頼らない指名をするに進む内部リンク野口芳宏さんの名言

教材:教育用語④に進む内部リンク

リライト教材:教育用語⑤に進む内部リンク

授業研究:教育用語⑥に進む内部リンク

オノマトペ:教育用語⑦に進む内部リンク

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