物語文の教材研究の仕方(9)指導方法

指導方法

 教材研究について書いています。

 今回は、学習指導において、指導者が考えておく必要があることを述べながら、角度を変えて、教材研究の仕方について述べます。

学習指導に応じた教材研究について

 学習指導は概ね次のように進みます。

1.子どもの実態をとらえる

児童観」とも呼ばれています。

 現在担任している学級の子どもたちに、どのような能力が備わっているのか、今後どのような能力を育てていく必要があるのかを考えます。

2.目標を設定する

 1の「子どもの実態」から考えて、どのような知識や技能、思考力・判断力・表現力等を子どもに身に付けさせたいかを考えます。

 学習指導要領に書かれている当該学年の目標や内容を参考にしながら、どのような力を育てるかを考えます。

3.教材の価値やよさを考える

 学級の「子どもの実態」を考え、どのような力を育てる必要があるか「目標を設定」し、その目標を達成するためには、今扱おうとしている教材には、どのような価値やよさがあるのかを考えます。

教材観」とも呼ばれます。

 教材研究を行うのは、教材のもつ価値やよさを吟味することでもあります。

 本来は、子どもの実態があり、指導の目標があり、その上で、その目標を達成するには、どのような教材がふさわしいか吟味し、教材を選ぶ必要があります。

 しかし、そのようなことを考慮する前に、教科書の次の教材は、「ごんぎつね」だから、これをどう教えようかと考えることの方が一般的です。

 異論があるかもしれませんが、もし「子どもの実態」や「設定した目標」から考えて、次に扱おうとしている教材が相応しくないのならば、教材を差し替えてもよいのではないか、と思います。

 2022(令和4)年現在小学校の国語の教科書は、4社から発行されています。

 4社の教科書会社が共通して扱っている教材は、3年生の「モチモチの木」、4年生の「ごんぎつね」と「一つの花」、5年生の「大造じいさんとがん(ガン)」です。

 低学年では、「スイミー」や「お手紙」を扱っていますが、掲載している学年が教科書会社によって違います。

 6年生では、全ての教科書で取り扱っている共通の教材はありません。

 全ての教科書が取りあげていないわけですから、「子どもの実態」を考え、「設定した目標」を達成するためには、必ずしもその教材である必要はないとも言えます。

 もっとも、「すべての児童生徒は、教科書を用いて学習する必要」があります。

 学校教育法には、次のような記載があります。

 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない

      学校教育法第34条

 上記のように書かれているわけですし、無償で子ども達に教科書が給与されているわけですから、教科書の編集通りに教えていて、悪いわけではありません。

 しかし、時には、他の教科書でどのような教材文を扱っているのか調べてみて、教材の吟味をすることも価値のあることだと思います。

4.指導の方法を考える

子どもの実態」を考え、「目標を設定」し、「教材の価値やよさ」を吟味した後、どのように指導を進めていけば、子どもに最大限の力を育てることができるのかを考えることが次の作業です。

指導観」とも呼ばれています。

 音読をしたり、めあてを決めたり、子どもに考えをノートに書かせたり、話し合いをしたり、1時間の学習をどのような手順で進めていくのか考えます。

 どのような発問をするのか、どのような指示をするのか考える必要があります。

 その教材を全何時間で扱うのか、その教材のどの部分に焦点をあてて指導するのかなどを考える必要もあります。

 意味調べを取りあげて考えてみましょう。

 意味調べは、宿題として前もってさせておくのか、1時間あるいは、数十分間時間をとって授業中に調べさせるのか、辞書を用意させておき、授業中に必要に応じて調べるようにさせるのか、指導者によって方法は様々です。

辞書を引く習慣のつけ方に進む内部リンク

 教材研究を通して、自分なりの指導方法を確立していくことが、教員には求められています。

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物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

コメント

  1. 大谷健治 より:

     ご無沙汰しております。お手紙ありがとうございます。ブログ拝見しました。先生らしくわかりやすく丁寧にまとめられており、さすがと感心いたしました。また、国語のご指導いただく機会があるかもしれませんね。その時はよろしくお願いします。
                大谷健治

    • 鴫田 岡明 より:

      おはようございます。
      早速,ブログを見ていただき,ありがとうございます。
      これからも楽しんで,ブログの更新をしていきたいなと思っています。
      また,機会があれば,読んでいただけたら嬉しいです。
      コロナがもう少し落ちつけば,一度お会いしたいです。
      お会いできることを楽しみにしています。

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