基本的な指導の流れ 算数の指導(1)

算数の学習
つばさ
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算数の基本的な授業の進め方が知りたいです。

 小学校の重要な教科の1つが算数です。

 今回は、算数の「基本的な指導の流れ」について書きます。

基本的な指導の流れ 算数の指導(1)

🟠算数の指導の基本的な流れ

<算数の目標>

 現行の小学校学習指導要領では、「算数」の目標が次のように書かれています。

 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・ 能力を次のとおり育成することを目指す。

(1)数量や図形などについての基礎的・基本的な概念や性質などを理解するとともに,日常の事象を数理的に処理する技能を身に付けるようにする。

(2)日常の事象を数理的に捉え見通しをもち筋道を立てて考察する力基礎的・基本的な数量や図形の性質などを見いだし統合的・発展的に考察する力数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表したり目的に応じて柔軟に表したりする力を養う。

 (3)数学的活動の楽しさや数学のよさに気付き学習を振り返ってよりよく問題解決しようとする態度算数で学んだことを生活や学習に活用しようとする態度を養う。

小学校学習指導要領 算数

 簡単に言いかえると、「数や図形などのふしぎを知り、数学的な考え方や計算などを通して解決する力を育てる」ということです。

<基本的な指導の流れ>

 算数の時間は、座学を中心にした時間です。

 教室で、数字や図形などのふしぎについて、疑問をもち、それを解決するために、見通しをもって、考えることで、数や図形のふしぎを読み解いていくことです。

 算数の学習は、小学校では、1年生から学び始めます。1年生では136時間、2年生から6年生では175時間学ぶことになっています。

 国語の時間についで、たくさんの時間学ぶことになっています。

 典型的な算数の学習は、「問題→見通し→自力解決→全体での解決→ふりかえり」という形で進めることが一般的です。この学習の形を、教師も子どもも意識しておくことは大切です。

 先程あげた算数の時間の基本的な学習の流れは、次の通りです。

0.指導者が、その時間に学ばせたい内容を決める。

1.数学的なふしぎなことについて疑問をもち、問題をつかむ。

2.疑問や問題を解決するための見通しをもつ。

3.考える。(個人で→グループで)

4.疑問や問題を全体で解決する

5.学習をふりかえる。

<0.指導者が、その時間に学ばせたい内容を決める>

 本来は、子ども自身が、数学的にふしぎに思えることについて疑問をもち、解決したいと強く思うことが大切なのだと思います。しかし、それぞれの子どもが疑問を待っていると、授業は計画通り進みません。

 そこで、指導者である教員が授業の内容を決めることになるのですが、子どもが疑問をもてるように、上手な導入の工夫をすることも必要です。

 とはいえ、いつもいつもいい導入が思いつくわけではありませんで、さっと問題に入ってもいいと思います。

<1.数学的なふしぎなことについて疑問をもち、問題をつかむ>

 多くの学級では、教科書に出てくる問題を教員がさっと提示する形で、授業は進んでいくことが多いのだと思います。

 しかし、できるだけ子どもたちが日常生活の中で身近に感じられる事象から、「どうして? わからないな。やってみたいな。」と思えるような問題を設定することができたら素晴らしいと思います。

 問題との出合いから出てくる、「どうして?」を解決するために、今まで学習したことをもとに、今回の授業でやるべきことを課題に設定して明確にします。

 今回は、説明のために、5年生の学習で、次のような台形ABCDの面積を求める学習を設定することにします。

<2.疑問や問題を解決するための見通しをもつ>

 見通しをもつことは、とても重要です。

 ひとりで考えることができるよう、課題を解決するための方法や考え方を今までの学習をもとに考えます。

 どのような方法で考えると、解決できるのか、具体的な方法を考えることが「見通し」になります。「方法の見通し」ということもあります。

 今回の学習では、今までの学習をもとに、子どもたちからは、「移動する」「つけたす」「分ける 」「三角形のような、今まで学習した形にする」などの「方法の見通し」が出るでしょう。

 また、「結果の見通し」をもつことも大切です。

 今回の学習では、大体どのぐらいの面積になると思うか、結果の見通しをもつことも大切です。

 この学習では、四角のますが20こ、欠けているますが8こなので、20+8÷2=24という結果になると、「結果の見通し」をもつ子どもがいると思います。

<3.考える。(一人で→グループで)>

 算数の学習では、見通しをもとに、図、言葉、式などを使って、まずはひとりで考える時間をもつことが大切です。

「移動する」と考える子どもは、次のように「平行四辺形」にするでしょう。

 上半分を切って、反対向きにして、横につけるでしょう。

「移動する」と考える子どもの中には、次のように「長方形」にする子もいるでしょう。

 上の左側を反対向きにして左につけ、上の右側を反対向きにして右につけます。

「つけたす」と考える子どもは、同じ台形を2つつけて大きな「平行四辺形」を作るでしょう。

「分ける」と考える子どもの中には、2つの「三角形」に分ける子どももいるでしょう。

「分ける」と考える子どもの中には、「三角形」と「四角形」に分ける子どももいるでしょう。

 一人一人で考えた後は、少人数で自分の考えを伝え合ったり、他の方法はないか考えたりします。

 分からない場合は、教員や友だちから助言をもらうこともあるでしょうし、教員にヒントカードをもらって再度考えることもあります。

<4.疑問や問題を全体で解決する>

 ある程度、一人で考えた後で、全体で交流する時間をもちます。

 自分で考えたり、友だちと考えたりすることで出てきたいろいろな考え方を、「いつでも、簡単、便利」という一般化、抽象化の視点から見つめ直し、よりよい考え方を見付け、課題と問題を解決していきます。

 先ほどあげた5つの考え以外にも、他の方法があるかもしれませんが、どの方法で考えても、面積は24㎠になります。

 きちんと問題の答えである「面積が24㎠になる」ということを確認することが大切です。

<5.学習をふりかえる>

 多くの学級では、この時間の学習を通して分かったことやまとめを書き出すことになります。

 例えば、次のような「まとめ」になります。

台形の面積は、平行四辺形や三角形と同じように、移動したり、つけたしたり、分けたりして学習した図形に形を変えれば求めることができる。

 時には、分かったことだけでなく、1時間の学習を通して、自分の考え方がどのように変わったのかをふりかえることも必要です。そうすることで自分の成長やみんなで考えるよさを感じられるようにしていきます。そして、「次はこんなことをしてみたい」という、次への課題につなげていくようにしていきます。

⭐️ ⭐️

 算数の学習の具体例については、次のページをお読みください。

大きなかけ算を指でする:算数の指導に進む内部リンク

時計の学習:算数の指導に進む内部リンク

 他の教科の授業の流れなどは、次のページをお読みください。

基本的な指導の流れ 理科の指導(1)に進む内部リンク

基本的な指導の流れ 社会科の指導(1)に進む内部リンク

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問題解決学習に進む内部リンク算数の授業の進め方の一例

物語文の指導の仕方(5)1時間めの指導に進む内部リンク

説明文の指導(4)1次の指導 題名読み・計画作りに進む内部リンク

 各教科の内容については、次のページをお読みください。

理科の学習の内容 理科の指導(2)に進む内部リンク

社会科の学習の内容 社会科の指導(2)に進む内部リンク

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