世界一美しいぼくの村 教材分析002

教材分析
つばさ
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世界一美しいぼくの村」という物語文の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、東京書籍4年下に掲載されている世界一美しいぼくの村」です。

世界一美しいぼくの村:教材分析

🟠世界一美しいぼくの村:教材分析

<作者>

 小林豊(こばやし・ゆたか)さん文・絵

 出典:「せかいいちうつくしいぼくの村」(ポプラ社・1995年)

 小林豊さんについて

 1946年、東京に生まれます。立教大学社会学部卒業です。

 イギリス留学中に画家をめざしたそうです。

 1970年代初めから80年代初めにかけて中東やアジア諸国を何回も訪れました。その時の体験が、この作品制作に大きな影響を受けたそうです。

 代表作には、「せかいいちうつくしいぼくの村」(産経児童出版文化賞フジテレビ賞)「ぼくの村にサーカスがきた」「せかいいちうつくしい村へかえる」「えほん 東京」などがあります。

<題名>

 題名は「世界一美しいぼくの村」です。この題名から、主人公のぼくが、自分の村が世界で一番美しいと思っていること、そして、とても好きなことがわかります。

 題名を読むだけでは、村の美しさやそこに住む人のすばらしさが予想されます。

<設定>

 いつ(時):今年の夏

 どこ(場所):アフガニスタンのバグマンという名前の村

 だれ(登場人物):ヤモという名前の小さな男の子

<人物>

 ヤモ……主人公、パグマンに住む小さな男の子。さくらんぼを売っている。

 ハルーン……ヤモの兄。兵隊になって戦いに行き、今は村にいない。

 父さん……ヤモの父親。すももを売っている。

 女の子……ヤモから最初すももを買ってくれる。

 足のない人……ヤモからすももを買ってくれる。戦争で足をなくす。

 おじさん……食堂でヤモと父に話しかけてくる。

<あらすじ>

・アジアのアフガニスタンという国は、夏に果物が実る美しい国だ。

・ヤモの住むパグマンでも、毎年、夏は、家族で果物を取っている。

・でも、今年の夏は、兄さんが兵隊に行っていない。

・ヤモは、父と町へ果物を売りに行った。

・すももを売る父を残し、ヤモは、ろばとさくらんぼを売りに行く。

・売れるか心配したが、女の子と足のない人が最初に買ってくれ、全部売れた。

・ヤモは、父とおそい昼ご飯を食べに行く。

・食堂で父はおじさんと戦争の話をする。

・兄を心配するヤモに、父は後でびっくりすることがあることを告げる。

・しばらくして、すももも全部売れた。

・父は果物を売ったお金で、びっくりする所である市場に行き、羊を買う。

・ヤモはよろこび、子羊に春という意味のバハールという名前をつけようと思う。

・その年の冬、村は戦争ではかいされ、今はもうない。

<場面>

 ここでは、このブログで紹介している5場面に分け、1場面を30字程度にまとめるという方法でして、分析をしてみます。

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

① アフガニスタンのヤモが住む村は果物が実る美しい村である。

② 戦争に行った兄の代わりに、ヤモは父と果物を売りに行く。

③ さくらんぼは、女の子や足のない人のおかげで全て売れた。

④ 果物を売ったお金で羊を飼うことができ、ヤモはとても喜ぶ。

⑤ その年の冬、村は戦争で破壊され、今はもうない。

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 この物語は、最初に、ヤモは、果物が豊かに実る美しい自然がいっぱいある国の村に住んでいることから書き出されています。

 兄が戦争に行っていないことや戦争で足をなくした人がいることから、戦争が身近にあることが書かれています。

 しかし、街では様々なものが売られ、とても活気があります。

 ヤモの一家も果物を売ったお金で子羊を飼うことができ、ヤモは、自分の住むパグマンが「世界で一番美しい村。」だと思います。

 これからもよい未来は続いていくように思われます。

 最後のページで、「村が戦争ではかいされ、今はもうありません。」ととつぜん終わります。

<人物の会話>

 この物語には、重要な会話がいくつかあります。

 1つめのヤモの重要な会話は、足のない人との会話です。

 ヤモの売るさくらんぼを買い求めた人には足がありません。

 「おじさん、戦争に行ってたの?

 この問いに対しておじさんは、

 「ああ、そうだよ。おかげで足を無くしてしまってね。

 と答えます。ヤモは、兄を心配してどきっとします。でもおじさんは、さくらんぼを食べ、

 「パグマンのさくらんぼは世界一だ。

 と大きな声でほめてくれ、さくらんぼは売れました。

 2つめのヤモの重要な会話は、食堂での会話です。

 ヤモは、戦争で足をなくしたおじさんがさくらんぼを買い、ほめてくれたことを話します。

パグマンのさくらんぼは、世界一だって。父さんと食べようと思って取っていたんだ。」

 そこに、となりの人が話しかけてきます。

「よく売れたようですね。」

 その問いに父は、売れたのはヤモのおかげであることと、兄が戦争に行ったことを話します。

 ヤモは、また、兄を心配します。

3つめのヤモの重要な会話は、つぶやきです。

パグマンはいいな。世界一美しいぼくの村。

<人物の行動>

 戦争が身近にあるのはとても心配です。しかし、町は村に住む人々は活気に満ちた生活をしていることが、人々の行動からわかります。

羊の市もたって、にぎやかな声があっちからもこっちからも聞こえてきます。

ヤモのさくらんぼは、飛ぶように売れました。

広場のモスクから、おいのりの声が流れてきます。

父さんは、もうけたお金を全部使って、真っ白な子羊を一頭買いました。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 戦争の悲惨さです。

 あれほど活気に満ちた人々の生活が、一冬をこすだけで、なくなってしまいます。

 戦争が全てを破壊することが描かれています。

 活気に満ちた人々の生活を戦争は、壊してしまいます。

 今、現実の世界でも、ロシアがウクライナに攻め込み、たくさんの人が死に、傷つく映像が毎日のように流れます。

 人々の住む家や建物や学校がミサイルで壊されています。

 戦争が人々の生活を壊すことを描いていると思います。

 戦争に対して、子ども1人1人がどう思うのかは少しずつ違うと思いますが、この物語を読むことで、戦争の悲惨さは伝わると思います。

<表現の工夫>

 この物語文には、さまざまな表現の工夫があります。

 一番大きな表現の工夫は最後の一文でしょう。

○ 最後の一文

その年の冬、村は戦争ではかいされ、今はもうありません。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️ ⭐️

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

 なお、戦争について私の考えをまとめたページがあります。

学ぶ⑤ 戦争に進む内部リンク

 子ども向けに戦争について書いた文章もあります。

戦争 warに進む姉妹ブログ・よみもの

ウクライナ侵攻 Invasion of Ukrainaに進む姉妹ブログ・よみもの

原爆ドーム Atomic Bomb Domeに進む姉妹ブログ・よみもの

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