「めだか」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「めだか」です。
めだか:教材分析
🟠めだか:教材分析
この教材は、教育出版の3年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
杉浦宏(すぎうら・ひろし)さん文
出典:この教科書のために書き下ろしされたものです。
杉浦宏さんについて
日本の動物学者です。特に、水生生物について造詣が深いです。
1930年(昭和5年)に東京都で生まれました。
日本大学農学部水産学科を卒業します。
恩賜上野動物園水族館に勤務した後、井の頭自然文化園水生物館長、上野動物園飼育課などで勤めました。
国際学院埼玉短期大学の教授もされていました。
ラジオ「全国こども電話相談室」の回答者としても活躍されました。
幼児向けの絵本などの書籍を含め、水生生物に関するたくさんの著作があります。
2000年に「国際的視野から見た水族館の役割技術的進歩について」で日本大学から博士(国際関係)を授与されています。
<題名>
題名は「めだか」です。
めだかは、子どもに比較的なじみのある生き物です。
題名を見た時に、子どもの中には、文中に出てくる童謡の「めだかの学校」の歌詞を思い出す子どもがいるのではないでしょうか。
<はじめとおわり>
○ はじめ
最初に、童謡「めだかの学校」の歌詞が書かれています。「めだかの学校は、みんなでおゆうぎしているよ」という歌詞が重要な言葉になります。
○ おわり
最後の段落では、次のように書いています。
・小川や池の中で泳いでいるめだかは、歌にもあるように「おゆうぎ」をしているようにしか見えないかもしれません。しかし、めだかは、いろいろな方法でてきから身を守り、自然のきびしさにたえながら生きているのです。
このように書かれていて、「はじめ」の部分で書かれていた「めだかはおゆうぎにしている」ように見えているが、本当は、てきやしぜんから身を守って生きていることが書かれています。
<形式段落>
形式段落は、全部で13段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① めだかの学校は、みんなでおゆうぎしているよ。(めだかの学校の歌)
② 春になると、小川や池にめだかがすがたをあらわす。体長は三、四センチメートル。
③ めだかは楽しそうに泳いでいるようだが、たくさんのてきにねらわれている。
④ では、めだかはてきからどのようにして身を守っているのか。
⑤ 第一に、めだかは小川や池の水面近くでくらして身を守る。
⑥ 第二に、めだかは、すいっ、すいっとすばやく泳いで、身も守る。
⑦ 第三に、めだかは、小川や池のそこにもぐって、水をにごらせ、身を守る。
⑧ 第四に、めだかは、何十ぴきも集まって泳ぐことによって、身を守る。
⑨ めだかは、てきから身を守るだけでなく、自然のきびしさにもたえる体をしている。
⑩ 夏の間、雨がなく、水が少なくなっても、のこされた水たまりでも生きていける。
⑪ 小さな水たまりの温度が上がっても、四十度近くまではたえることができる。
⑫ 雨がたくさんふり、海に流されて、海水のまざった川口の近くでもたえることができる。
⑬ めだかは、いろいろな方法でてきから身を守り、自然のきびしさにたえて生きている。
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<意味段落>
ここでは、4つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①~③段落:序論(はじめ)
めだかは、歌にあるようにおゆうぎしているように見えるが、いつもたくさんのてきにねらわれている。
④~⑧段落:本論1(なか1)てきから身を守る
めだかは、水面近くでくらしたり、すばやく泳いだり、水をにごらせたり、たくさん集まって泳いだりしててきから身を守っている。
⑨~⑫段落:本論2(なか2)自然のきびしさにたえる
めだかは、雨がなく水が少なかったり、水たまりの温度が高かったり、大雨で海に流されたり知るような自然のきびしさにもたえて生きている。
⑬段落:結論(おわり)
めだかは、歌にあるようにおゆうぎしているようにしか見えないが、めだかは、いろいろな方法でてきから身を守ったり、自然のきびしさにたえたりして生きている。
<大事な言葉>
めだか、おゆうぎ、体長、てき、たがめ、げんごろう、やご、みずかまきり、ざりがに、身を守る、水面、すばやく、にごらせる、きけん、せまる、目うつり、自然、きびしさ、ふな、こい、水たまり、水温、あふれる、まみず、海水、まざる、川口、みちしお
<表現の工夫>
「対比」
童謡の「めだか」の歌詞では、めだかは、おゆうぎしています。のんびり楽しそうです。しかし、自然の中に生きるめだかは、この歌詞のような楽しいくらしではありません。てきがたくさんいますし、きびしい自然の中で生きています。
童謡の「楽しそうにくらしているめだか」いう対比するめだかを出すことで、説明対象である「本当のめだかのくらしがきびしい」という特質が明瞭に読み手に伝わるようになっています。
「問いかけ」
この説明文では、1つの問いかけ文が使われています。
・では、めだかは、そのようなてきから、どのようにして身を守っているのでしょうか。
このような問いかける言い方(説疑法)によって、読み手にいろいろなことを考えさせることができますし、さらに、読み手の知的好奇心が高まる効果があります。
「数量化」
この説明文では、数字がたくさん出てきます。
① 体長が、三、四センチメートルの大きさであること。
② てきから身を守る方法が「第一に」「第二に」と書くことで、四つの方法があること。
③ 水たまりの水温が、四十度近くになってもたえられること。
このように具体的な数量化されたデータを根拠にすることで、述べようとすることの確かさが強まるよさがあります。
「写真とイラスト」
この説明文には、扉の写真を含めて6枚の写真と4枚のイラストがあります。
言葉で説明することに加えて、写真やイラストがあることで、めだかのてきの生き物がどのような生き物なのか視覚的によくわかりますし、めだかがてきから身を守る方法が、とてもよくわかるようになっています。
<要旨>
この説明文では、「めだかは、いろいろな方法でてきから身を守り、自然のきびしさにたえて生きている」ということが具体的に説明されています。
めだかは、童謡にあるような「おゆうぎ」しているような、のんびりとしてくらしではなく、とてもきびしい生活だということがわかります。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
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