第2次の読み取りの指導はどうすればいいのでしょうか。
説明文の基本的な学習の仕方について続けます。
ここでは、次の学習のことについて書きます。
2次の1時間めの指導において必要なこと
2次の1時間めの指導において必要なこと
3年生の「パラリンピックが目ざすもの」という説明文を使って単元指導計画を考えました。
今回は、2次の内容の読み取りの学習についてです。
第3時の学習の目標は、「段落①から④を要約しながら読み取ることができる」です。
現行の新学習指導要領によると、「思考力,判断力,表現力等」の内容の第3学年及び第4学年の「読むこと」の指導事項のうち、「説明的文章」に関係する部分については、次のような記載があります。
ア 段落相互の関係に着目しながら,考えとそれを支える理由や事例との関係などについて, 叙述を基に捉えること。
ウ 目的を意識して,中心となる語や文を見付けて要約すること。
オ 文章を読んで理解したことに基づいて,感想や考えをもつこと。
カ 文章を読んで感じたことや考えたことを共有し,一人一人の感じ方などに違いがあることに気付くこと
思考力,判断力,表現力等/第3学年及び第4学年/「C読むこと」の指導事項
ここでは、特に、「要約する力」を育てることになります。
この時間の学習活動は、次のようになります。
1.本時の学習のめあてを確かめる。
「段落①から④の内容を、要約しながら読み取ろう」
2.学習場面を音読する。
3.要約の仕方を知る。
4.一人一人で要約する。
5.学級全体で、各自が要約したことを話し合う。
6.まとめの音読をし、学習のまとめをする。
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🟠本時の学習のめあてを確かめる
学習のめあては、授業の最初の方に提示したいと考えます。
若手の教員の授業を見ていますと、いつまでも、その時間の「学習のめあて」が板書されないことがあります。
子どもにとっても、指導者にとっても、その1時間何を行うのかを確認する大切な事柄ですので、できるだけ授業のはじめに示すべきです。
本時の学習のめあては、「段落①から④の内容を、要約しながら読み取ろう」です。
しかし、この段階で、子どもたちは、「要約」という言葉を知りません。
教科書の19ページのてびきに「要約」の意味と要約の仕方が説明してあります。
てびきを使うなどして、要約の説明をする必要があります。
🟠学習の場面を音読する
意味を考えながら何回も読ませる必要があります。
すらすら読めない状態で、内容を理解したり、要約をしたりすることはできません。
この単元を扱うのは、10月ですから、4月からていねいな指導を重ねていると、学級の多くの子どもが、すらすらと音読できる子どもに育っていると思います。
しかし、成長の遅い子どももいます。ていねいに支援をする必要があります。
🟠要約の仕方を知る
「学ぶ」の語源は、「真似る」だという話もあります。
子どもたちが、最初から、「要約」ができるわけではありません。
「要約」とは、てびきに書いてあるように「みじかくまとめること」です。そして、「みじかくまとめるときには、だいじな文やことばを見つけてまとめる」必要があります。
また、「題名にかんけいすることば」や「くりかえし出てくることば」も「だいじな文やことばを見つけるとき」には、必要になることもおさえるといいでしょう。
段落①②の中から、「だいじだと思う文やことばに線を引くように」指示します。
そして、次のように「要約」します。
「オリンピックは、スポーツの祭典である。」
🟠一人一人で要約する。
次に、段落③④を自分で要約してみます。
大切な言葉や文に線をひきます。
ノートやワークシートに実際に書いてみます。
ここで、大切なのは、実際に、子ども一人一人に書く活動をさせることです。
指導者は前もって、自分なりに要約をしておく必要があります。自分ができないことが、子どもにできるはずがありません。
何字以内という文字数の制限を行う方が、考えやすい場合もあります。
わたしが、考える「要約」は次の通りです。
「パラリンピックは、しょうがいがある人のスポーツの祭典である。ルールをくふうしているきょうぎがある。パラリンピックにしかないぎょうぎもある。」(69字)
🟠学級全体で、各自が要約したことを話し合う
全体で話し合う前には、隣同士や小グループで話し合う時間をもつ方がよいと思います。
少ない人数の方が、多くの子どもが発言できますし、話すことに抵抗感が少ないからです。
教科書では、文末は敬体文ですが、「要約」するときは、文末を常体文で書く方がよいことをおさえる必要があります。
文末の書き方については、この単元を通して、くり返し、確認する必要があると思います。
🟠まとめの音読をし、学習のまとめをする
要約をした学習の感想をたずねるとよいでしょう。
うまくできた子どももいるでしょうし、難しかったと感じる子どももいると思います。
わたしが担任をしているときは、毎時間、その時間の授業の感想をノートに書く時間をもつようにしていました。
学級の実態によっては、よい発表をした友だちを紹介し合うことも大切かもしれません。
学級のよさは、友だちの頑張りや成長を認め合うことで育っていくことも多いと思います。
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説明文の指導や教材研究などについて、次のページもお読みください。
説明文の指導の仕方(6)2次の指導の実際②に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(7)筆者の表現の工夫に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(8)3次・調べ学習に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(9)3次・書く時の指導に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)考えておくとよいことに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(4)1次の指導の実際に戻る(内部リンク)
説明文の指導の仕方(3)指導計画の実際に戻る(内部リンク)
説明文の指導の仕方(2)2次と3次の指導に戻る(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に戻る(内部リンク)
説明文の教材研究(1)教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(5)大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
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