「まんがの方法」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「まんがの方法」です。
まんがの方法:教材分析
🟠まんがの方法:教材分析
この教材は、教育出版の5年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
石田佐恵子(いしだ・さえこ)作
出典:この教科書のために書き下ろしされた文章です。2002年に書かれました。
石田佐恵子さんについて
1962年(昭和37年)、栃木県生まれです。日本の社会学者です。
筑波大学卒業後、筑波大学大学院に進学しました。現在、大阪公立大学(旧、大阪市立大学)教授です。メディア、テレビ文化、まんが、クイズなどの文化社会学の研究をされています。
<題名>
題名は「まんがの方法」です。
この教材は、5年生の教科書に出てきます。
<はじめとおわり>
○ はじめ
本屋には、たくさんのまんががならんでいる。子どもだけでなく、大人向けのものもある。多くのまんがが発行され、読まれているのは、まんががおもしろいからだろう。
○ おわり
ストーリーまんがを例に「まんがの方法」をしょうかいした。みなさんも、自分の好きなまんがからいろいろな「まんがの方法」を見つけてみると、今までよりもっとまんがを楽しむことができる。
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
<形式段落>
形式段落は、全部で16段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① たくさんのまんががあり読まれているのは、まんががおもしろいからだろう。
② まんがのおもしろさをどのような方法で表しているのか、ひみつをさぐってみよう。
③ まんがには種類があるが、共通の表現方法があり「まんがの方法」とよぶことにする。
④ 親しまれているストーリーまんがを例にして、「まんがの方法」をさぐることにする。
⑤ ストーリーまんがは、「コマ」とよばれる四角いわくの中の絵の連続で表現される。
⑥ コマは、物語の展開に重要な役割を果たし、コマで場面の印象が変わる。
⑦ コマと同じく重要なものに「フクダシ」と呼ばれる人物の話すせりふがある。
⑧ フキダシではなく、絵の中に、手で文字がえがかれ、人物の心の動きなどを表す。
⑨ 次に、人物のえがき方について考える。まんがの絵がらはとても単純である。
⑩ 特に大切なのは、人物の表情で、表情によって、まんがの感じは大きくちがってくる。
⑪ まんがの進行の仕方はどうか。省略表現があることで想像しながら読むことができる。
⑫ 「まんがの方法」はほかにもある。
⑬ 例えば、背景にななめの線や丸、点々などがえがかれ、心の動きなどを効果的に表す。
⑭ 背景に「ナレーター」の語りが入ることで、作品に独特のおもしろさをあたえている。
⑮ 「まんがの方法」を使ったまんがは、言葉を変えると、言葉の異なる国でも楽しめる。
⑯ 好きなまんがで「まんがの方法」見つけると、もっとまんがを楽しむことができる。
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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
<意味段落>
ここでは、5つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①~②段落:序論(はじめ)
最初に、本屋にまんががたくさんあることから書きはじめ、多くの人に読まれているのはおもしろいからです、と説明します。
そして、第②段落は、問題提起の段落です。
まんがは、そのおもしろさをどのような方法で表しているのか、そのひみつをさぐろうと、筆者は書きます。
③~⑧段落:本論1(なか1)
まんがにはいろいろなしゅるいがあるが、共通した表現方法があることにふれ、それを、題名でもある「まんがの方法」と名付けます。そして、ストーリーまんがを例に、「まんがの方法」についてさぐることにします。
そして、まんがの方法である「コマ」「フキダシ」「絵の中の文字」について説明しています。
⑨~⑪段落:本論2(なか2)
「まんがの方法」の人物のえがき方、省略表現について説明しています。
⑫~⑮段落:本論3(なか3)
その他の「まんがの方法」である背景のえがき方について説明しています。
そして、言葉を変えれば、他の国でも楽しむことができることについて書いています。
⑯段落:結論(おわり)
ストーリーまんがを例に「まんがの方法」をしょうかいしたことにふれ、「まんがの方法」は常に新たに生み出されている、と書きます。そして、読者のみなさんも、自分の好きなまんがからいろいろな「まんがの方法」を見つけると、今までよりもっとまんがを楽しむことができる、とまとめます。
<大事な言葉>
まんが、雑誌、所せまし、りくつぬき、コマ、ストーリー、物語の展開、回想、せりふ、フキダシ、はくりょく、省略、背景、ナレーター、差しかえ
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
<表現の工夫>
「問いかけ」
この説明文では、最初の方で疑問を提示しています。
・まんがは、そのおもしろさをどのような方法で表しているのでしょうか。
と書きます。
問いかける言い方(疑説法)によって、読み手の知的欲求が高まり、その答えを知りたくなりますので、文章を読みたくなります。
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
「実際のまんがの引用」
この説明文では、実際の漫画の具体例を7つも使っています。文字で書かれた文章で説明するだけでなく、説明する内容に対応する「まんが」の実物を使うことで、説明がよりわかりやすくなっています。
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
<要旨>
この説明文では、「まんがの方法」についていろいろな具体例をあげて説明しています。そして、まんがの方法によって、まんががおもしろくなること、自分の好きなまんがから、いろいろな「まんがの方法」を見つけると、もっとまんがを楽しむことができると書いています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
他の説明文の教材分析の例や漫画などに関係する言葉については、次のページをお読みください。
漫画のよさ 伝記の漫画家たちに進む(内部リンク)
手塚治虫 教材分析⑧に進む(内部リンク)
作文のすすめ(12)4こま漫画に進む(内部リンク)
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