「人をつつむ家ー世界の家めぐり」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「人をつつむ家ー世界の家めぐり」です。
人をつつむ家ー世界の家めぐり:教材分析
🟠人をつつむ家ー世界の家めぐり:教材分析
この教材は、東京書籍の3年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
小松義夫(こまつ・よしお)作
地球生活記を元に、この教科書のために書き下ろされたものです。
出典:地球生活記(福音館書店・1999年刊)
小松義夫さんについて
1945年生まれです。写真家です。人が生活を営む形である「家」を中心とし、世界各地で人の暮らしを取材して回っています。有名な著作に「地球生活記」(産経児童出版賞、福音館書店)などがあります。
<題名>
題名は「人をつつむ家ー世界の家めぐり」です。
この題名を見ただけでは、世界の家についてたくさん書かれていることが予想されます。
家めぐりということから、1つではなく複数の家を回って見ていることが予想されます。
<はじめとおわり>
○ はじめ
「わたしは、世界中をたずねて、人がいて家があるという風景を、たくさん写真にとってきました。」と書いています。
この説明文では、筆者が世界の人と家のある風景をたくさん写真に撮ってきていることが絵わかります。
○ おわり
この説明文では、最後に「この家の屋根は、米をしゅうかくした後にできるわらで作られ、近くのたくさん生えているマングルーブのみきでささえられています。」と書かれています。この説明文全体のまとめが書かれているわけではなく、詳しく紹介している3つの家の最後の家である「セネガル」の家のことが書かれています。
<形式段落>
形式段落は、全部で14段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① わたしは、世界中で、人がいて家があるという風景を、たくさん写真でとってきた.
② ボリビアには、高さ三千五百メートルの高原に、どんぐりのような家がある。
③ ルーマニアには、雪が落ちやすいような屋根のかたむきの大きい家がある。
④ どの家も土地のとくちょうやくらしに合わせて、くふうして作られている。
⑤ では、わたしのたずねた世界の家をしょうかいする。
「大草原の白い家ーモンゴル」
⑥ 見わたすかぎりの草原に、羊や馬を放牧してくらす、白いゲルという家がある。
⑦ ゲルは、移動できる組み立て式の家で、フェルトでおおうと家になる。
⑧ フェルトは、羊の毛でできていて、冬の寒さをしのぐことができる。
「地面の下でくらすーチュニジア」
⑨ おかから村を見下ろすと、あながたくさんあり、ここに家や畑がある。
⑩ あたりの気温が五十度近くでも、地面の下の部屋はすごしやすい。
⑪ 横にあなをほると新しい部屋になり、中をしっくいで白くぬって作る。
「屋根がさかさまーセネガル」
⑫ エルバリン村は、大きな川の近くにあり、米を作り魚や貝をとってくらす。
⑬ 家の屋根はじょうごの形をしていて、屋根で雨水をためて利用している。
⑭ 屋根は、しゅうがく後のわらで作り、マングローブのみきでささえている。
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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
<意味段落>
①~⑤段落:序論(はじめ)
わたしは、世界中で、人がいて家があるという風景を、たくさん写真でとってきた。ボリビアには、高さ三千五百メートルの高原に、どんぐりのような家がある。ルーマニアには、雪が落ちやすいような屋根のかたむきの大きい家がある。どの家も土地のとくちょうやくらしに合わせて、くふうして作られている。わたしのたずねた世界の家をしょうかいする。
筆者が世界を旅し、いろいろな家や人々の様子を写真で撮ってきたことがわかります。
⑥~⑧段落:事例1(なか1)
モンゴルの大草原にある白い家は、ゲルという名前で、移動できる組み立て式の家です。フェルトは、羊の毛でできていて、冬の寒さをしのぐことができます。
⑨~⑪段落:事例2(なか2)
チュニジアの地面の下にある家は、あつさをしのぐために、地面の下に家があります。新しい家も、横にあなをほると新しい部屋になり、中をしっくいで白くぬって作ります。
⑫~⑭段落:事例3(なか3)
セネガルには、屋根の形がさかさまの家があります。この屋根で雨水をためてくらしています。
はじめの部分で、ボリビアとルーマニアの家について簡単に紹介し、なかの部分で、モンゴル、チュニジア、セネガルの家について詳しく説明しています。
この説明文では、結論にあたるおわりの段落はありません。
<大事な言葉>
風景、高原、草原、ゲル、フェルト、しっくい、じょうご、井戸、マングローブ
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
<表現の工夫>
「写真・挿絵」
この説明文では、世界の5つの国の家を紹介しています。全ての国の家には、1枚ずつ写真があります。写真があることで、どのような家なのか、よくわかります。
写真だけではなく、詳しい説明のついたイラストも添えられています。イラストがあることで、家がどのように作られているのかよくわかります。言葉の説明とイラストの説明が合わされことで、説明された事柄の理解が深くなります。
<要旨>
この説明文では、形式段落の4段落で書かれています「どの家も、その土地のとくちょうや人々のくらしに合わせて、地元にあるざいりょうを使い、くふうして作られている」ことを具体的な事例をあげながら説明しています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
なお、この教材を使ったかんたんな指導計画について、次のページに載せています。
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
なお、福音館書店の出版している書籍「たくさんのふしぎ」刊行イベントでこの説明文の筆者である小松義夫さんのイベントがYouTubeで配信されています。興味のある方は、ご覧ください。
たくさんのふしぎ4月号『家をまもる』刊行記念【写真家・小松義夫さんと世界で探そう!あなたの住んでみたい家は?】に進む(内部リンク)
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なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
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