本の紹介の仕方について知りたいです。
話すことの話題としてよいものに本や絵本があります。
今回は、「本の紹介」について書きます。
本の紹介
🟠本の紹介
<本や絵本のよさ>
作文を書くときにも言えることですが、何かを人に伝えることに困ることは2つあります。
1つは、どのような内容について伝えるのかということです。
もう1つは、どのように伝えるといいかということです。
話すことの題材として、本や絵本がよいのは、本や絵本の中に伝えることが詰まっていることです。
本や絵本そのものが伝えたいことですから、基本的には、伝えたいことがあります。
もっともきちんと誰かに伝えようとすると、書かれている内容について理解することが必要ですし、どのように伝えた方がよく伝わるか考えるということもあります。しかし、何もかも自分で考えるよりもずっと助かります。
その上、大人が読む一般書のような本の場合は、表紙に題名と抽象的なデザインがされていることが多いですので使えないのですが、絵本や児童書などの子どもが好んで読む本の場合は、表紙に物語の主人公などが描かれていることが多いです。
この表紙を示しながら、主人公や登場人物については話すだけで、話し手はとても話しやすくなります。
話すこと・聞くことの指導で、ショウアンドテル(Show and Tell)について書きました。
話すこと・聞くことの指導(6)ショウアンドテルに進む(内部リンク)
ショウアンドテル(Show and Tell)とは、文字通り、「見せて話すこと」です。
本の紹介も、本という実物を示しながら話をするようにした場合、ショウアンドテル(Show and Tell)の1つであると言えます。
多くの人の前で話すことに慣れていない子どもにとって、ただ、言葉だけで話をするよりも、本という実物を示しながら話ができるということは、とても話しやすくなります。
<本の紹介の具体的な方法>
何事でも同じことですが、何かを上手に行うためには、準備をすることがとても大切になります。
本の紹介でも同じです。
本の紹介を「話すこと」の学習の1つとして取り上げる場合、次のような手順で行うのもよいのではないかと思います。
「1.子どもが本を読む」
まず、最初にすべきことは、子ども本を読むことです。
本を読むことが苦手な子どもの場合などは、絵本などでもよいことにします。できるだけ、子どもの好みを聞いて、その子どもが読みたくなるような本を何冊か具体的に子どもに紹介するというのも指導者の役割だと思います。
「2.何を紹介するか考える」
物語などの本を紹介する場合、何が書かれているかあらすじを子ども自身がとらえることができないといけません。
そこで、あらすじをとらえる学習をしておくことは、子どもにとって効果的かもしれません。
あらすじをとらえる指導法については、次のページをお読みください。
物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む(内部リンク)
物語文の指導の仕方(2)設定・あらすじ・読書に進む(内部リンク)
物語をいくつかの場面に分けて、それぞれの場面を20~30字程度にまとめることができる力を育てることは、とても大切だと思います。
ただ、あらすじを本の紹介に取り入れる場合、あらすじの全てを伝えるのではなく、途中で区切って、「この続きは本を読んでください」というようにした方がよいことを、子どもにはきちんと教えることも大切です。
必ずしも、本の紹介をする場合、あらすじを話さなければいけないわけではありません。物語などの場合、多くは魅力的な主人公や登場人物が出てきます。その主人公や登場人物のどこか好きなのかを話すだけでも十分です。
そのような本を紹介する場合のポイントを教えることも大切だと思います。
「3.話す内容を考え、まとめる」
発表する原稿をきちんと作るというのもよい方法だと思います。
時間をかけて、文章にしてみるというのも、大切なことです。
ただ、このような本を紹介する学習に慣れてきた場合は、話すことの概要を簡単なメモにするだけでもよいと思います。
何も準備しないで話をすると、失敗することの方が多いでしょう。
話すという行為の場合、「あがる」という状態に陥ってしまうことがありえます。多くの人の前で話すことに失敗してしまうと、「人前で、話をするなんて2度としたくない」というよくない気持ちをこどもに持たせてしまいますので、きちんと話す内容をもっておいてからみんなの前に立たせるということは、とても大切なことだと思います。
「4.少人数で話をする」
本の紹介をいきなり学級のみんなの前でする必要はないと思います。
話をすることに慣れるということでは、2人ずつになったり、小グループで本の紹介をするという方法もとるとよいと思います。
2人ずつの場合、相手が1人ですので、あまり上がりません。自分のペースでゆっくり話すことができます。聞き手の方も、聞くのは自分だけなので、相手が話に詰まっている場合などは、質問をすることも気軽にできます。
相手を変えながら、何回も本の紹介をすると、本の紹介がたくさんできます。
音読が上手になる秘訣の1つは、音読の場合、同じ内容を何回も練習することにあります。みんながよく知っている内容を繰り返し繰り返し練習を続けます。
でも、なぜか、話をする場合、本番の1回だけという方法を取る指導者が多いように思います。何回も繰り返し行える場を用意するということも、子どもを話を上手にする指導者にとっては大切な場づくりだと思います。
確かに、何回も同じ話をされると、聞き手は飽きてしまいます。
そこで、相手を変えつつ何回も本の紹介をするという場を用意すると、音読練習のように何回も話をする経験ができると思いますが、いかがでしょうか?
⭐️ ⭐️
本の紹介を目的にした物語の指導の実際について、お読みください。
物語文の指導の仕方(5)1時間めの指導に進む(内部リンク)
物語文の指導の仕方(6)2時間めの指導に進む(内部リンク)
物語文の指導の仕方(7)3時間めの指導に進む(内部リンク)
物語文の指導の仕方(8)4時間めの指導に進む(内部リンク)
物語文の指導の仕方(9)5時間めの指導に進む(内部リンク)
物語文の指導の仕方(10)6時間めの指導に進む(内部リンク)
なお、あわせて、話すこと・聞くことに関する次のページもお読みください。
話すこと・聞くことの指導(1)何をめざすのかに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(2)道順をどう話すかに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(3)話すことに慣れるに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(4)発言の機会を増やすに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(5)朝の会の司会に進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(6)ショウアンドテルに進む(内部リンク)
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