作文の指導法についてお伝えします。
作文のすすめ 400字作文
子どもたちに、文章を書くことは好きですか、それともあまり好きではありませんか、と聞くと、多くの子どもはあまり好きではないと答えるのではないでしょうか。
しかし、作文に代表される表現力の育成が必要だとされています。
私自身、子どもの頃の作文の時間といえば、先生が「遠足」「運動会」などの題を出して、それについてただ書くだけのことが多かったように思います。
どのように書けばいいのかあまり教えてもらった記憶がありません。作文にも指導が必要なのだと知ったのは、教員になってからです。
国語科の学習指導要領を見ますと、書写を除いた「書くこと」(作文)に割くべき時間数が明記されています。
1・2年生では、年間100時間程度、3・4年生では、年間85時間程度、5・6年生では、年間55時間程度となっています。
なぜ、時間数が明確に出ているかといえば、それだけ作文にかける時間が削られ、作文の単元を「読むこと」だけで終っているという実態があるからです。
🟠市毛勝雄氏の実践
私自身が気に入っている作文実践の一つに市毛勝雄氏の実践があります。
市毛氏は、元早稲田大学の教授で、文章構成を主眼とした作文指導を提唱されています。
市毛氏は、小学校中学年から高学年にかけて、20行400字(原稿用紙1枚)の作文を書かせることを提唱されています。
それも、ただ400字を漫然と書かせるのでなく、形式を決めて書かせることをすすめています。
(私は、2年生で実践したことがあります。1年生なら3学期になったら十分できると思います。)
題名と名前にそれぞれ1行ずつ。
「はじめ」は、2行40字程度。
「なか1」は7行140字程度。
「なか2」も7行140字程度。
「おわり」が2行40字程度です。
以上で400字になります。
基本は、「はじめ、なか、おわり」の3段階形式ですが、それぞれに、書く内容が決まっています。
はじめは、全体のあらましを書きます。
なか1は、1つの具体例を詳しく書きます。ここには、意見や感想は書きません。
なか2は、なか1とは別の具体例を1つ、詳しく書きます。同じく意見や感想は書きません。
おわりには、自分の取り上げたテーマに対する感想や意見を書きます。
子どもが作文を書くことを嫌う理由には大きく2つ考えられます。
1つは、何を書くといいかわからないということです。
もう1つは、どう書けばいいかわからないということです。
この市毛氏の方法のよさは、どう書けばいいかわからない子どもたちに対して、書く方法を示しているところです。
市毛勝雄氏は、「作文の授業改革論」(明治図書、1997年)という本の中で、「作文の長さを400字に限定するのは、なぜですか」という問いに対して、次のように述べます。
論理的な説明文の作文では、無駄のない論理的構成と簡潔な文章を書く技術を、多くの児童に身につけさせる指導を目的とするために、400字1枚の長さの作文で十分だ、と考えます。
市毛勝雄著「作文の授業改革」(明治図書)1997年
長い作文もいいのでしょうが、まずはたくさん作文を書かせることをおすすめします。
ぜひ、一度学校やご家庭で、試してみてください。
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他の作文指導については、次のページをお読みください。
作文のすすめ(2)400字作文の実際に進む(内部リンク)
作文のすすめ(3)指導前に、自分が書いてみるに進む(内部リンク)
作文のすすめ(4)書きたいことがある状態にするに進む(内部リンク)
作文のすすめ(5)構想表についてに進む(内部リンク)
作文のすすめ(6)自由作文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(7)子どもの発達段階を知るに進む(内部リンク)
作文のすすめ(8)低学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(9)中学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(10)高学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(11)卒業文集に進む(内部リンク)
作文のすすめ(12)4こま漫画に進む(内部リンク)
作文のすすめ(13)意見文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(14)感想文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(15)縦書きと横書きに進む(内部リンク)
作文のすすめ(16) 日記の指導に進む(内部リンク)
作文のすすめ(17)系統を考えた指導に進む(内部リンク)
作文のすすめ(18)お気に入りの表現に進む(内部リンク)
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