指導をする時には系統を考えることも大切です。
小学校の国語の時間には、音読をすることがよくあります。
4月の最初の物語教材などでは、指導の重点を音読におくことがよくあります。
今回は、「音読指導:系統を考えた指導」について書きます。
音読指導:系統を考えた指導
🟠音読指導:系統を考えた指導
<学習経験と系統性>
小学校の全ての学習は、それまでの学習経験の上に立って指導しています。
2年生の学習では、1年生における1年間の学習の成果の上に成り立っています。
6年生の学習では、1年生から5年生までの5年間の学習の成果の上に成り立っています。
しかし、教員が指導するときに、そのことを意識することはあまりないのかもしれません。
前の学年、あるいはもっと前の学年で、どのようのことを身につけてきているのか、きちんとわかって指導することは少ないのかもしれません。
なかなか意識することは難しいことかもしれませんが、子どもの学習経験を知っておくことはとても重要なことです。
例えば、国語の教科書では、4月の最初の教材に物語文が用意されていることが多いです。その時、音読指導が大きなめあてになっています。
さて、教員が、音読をめあてに指導する時、前の学年や、その前の学年で、どのようなめあてで学習してきているかよく理解して指導しているでしょうか。
今までの学年で、どのようなことに重点をおいて、指導されてきたのかを知っておくことはとても意味のあることです。
確かに、教員が大きな研究授業するときには、扱い教材の系統性について触れて指導案を作ることもあります。
しかし、日常的な日々の指導をするときに、なかなかこれまでにどのような教材を使って、どのような学習をしてきたのかを意識することは少ないように思います。
そこで、今回は、系統性を意識した指導を行うためにも、4月の教科書教材に絞って、どのように教科書が作られているのか紹介したいと思います。
<4月の物語教材の学習の手びき>
ここでは、入門期の指導が必要な1年生を除いた2年生から6年生の最初の物語教材で、学習の手引きの中に、どのような内容が書かれているか紹介することにします。
特に、音読に関係して記述されていることを絞って紹介することにします。
今、日本では、4つの教科書が採択されていますが、ここでは東京書籍の教科書を元に紹介することにします。
「2年生の教科書」:風のゆうびんやさん
風のゆうびんやさん 教材分析038に進む(内部リンク)
人ぶつの声をおもいうかべて、「風のゆうびんやさん」を音読しよう。
文しょうなどを声に出して読むことを音読と言います。音読をするときは、丸(。)やてん(、)に気をつけて読みましょう。
東京書籍教科書:2年生上
2年生では、音読の説明をしています。
また、丸や点に気をつけることになっています。
「3年生の教科書」:すいせんのラッパ
すいせんのラッパ 教材分析036に進む(内部リンク)
すいせんのラッパの音や、人物の様子を思いうかべて、音読で表そう。
思いうかべた音や様子は、音読でどのように表すとよいでしょうか。
場面をきめて音読しよう。
どの場面を音読したいですか。
・読む場面をきめて、様子を思いうかべながら音読しましょう。
・友だちと音読を聞き合い、感そうをつたえ合いましょう。
東京書籍教科書:3年生上
3年生では、人物の様子を思いうかべて読むことを指導の中心にしています。
「4年生の教科書」:こわれた千の楽器
こわれた千の楽器 教材分析037に進む(内部リンク)
楽器たちや月の様子や気持ちを想像し、想像したことをくふうして音読で表そう。
それぞれの場面の楽器たちは、どのような様子でしたか。
・物語をもく読して、楽器たちの様子が分かる言葉や文を見つけましょう。
音読ともく読
音読…文や文章を声に出して読むこと。
もく読…文や文章を声を出さずに読むこと。
音読ともく読には、それぞれのよさがある。読む目的によって、使い分けよう。
想像したことを音読で表そう。
どのように音読すると、想像したことが聞き手に伝わるでしょうか。
・どのように音読するとよいか考え、友達と伝え合いましょう。
・友達とグループを作り、みんなで読むところとそれぞれが読むところを決めて、物語を音読しましょう。
東京書籍教科書:4年生上
4年生では、音読と対比する形で、黙読の説明をしています。
さらに、気持ちを想像して、工夫して読むことを大きなめあてにしています。
「5年生の教科書」:だいじょうぶだいじょうぶ
だいじょうぶ だいじょうぶ 教材分析040に進む(内部リンク)
それぞれの「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」という言葉にこめられた思いを想像し、想像したことが聞き手に伝わるように音読で表そう。
想像したことが聞き手に伝わるように音読をしよう。
想像した「ぼく」の気持ちや思いが聞き手に伝わるようにするには、どのように音読をするとよいでしょうか。
どのように読むか考えてノートに書き、読む練習をしましょう。
東京書籍教科書:5年生
5年生では、4年生とよく似ていて、気持ちや思いを想像して、工夫することをめあてにしています。4年生との違いは、自分の考えをノートに書いて練習することを薦めていることです。
「6年生の教科書」:サボテンの花、生きる
サボテンの花 教材分析039に進む(内部リンク)
物語と詩を読んで思ったことや考えたことを、聞い手にわかるように朗読をしよう。
「サボテンの花」と「生きる」の二つの作品のうち、どちらの作品がより心にひびきましたか。より心にひびいた作品を選び、朗読をしましょう。
・場面の様子に合わせた声の出し方、声の強弱、読む速さ、間の取り方などをくふうして読みましょう。
・友達とたがいの朗読を聞き合い、思ったことや考えたことが聞き手に伝わるように読んでいるか、確かめましょう。
6年生では、新たに朗読という言葉が出てきています。実際には、5年生の途中にある「大造じいさんとがん」という教材で使われています。
ここでは、その経験を生かして、朗読することになっています。
このように、時には、前の学年やその前の学年でどのような教材を使って、どのような学習経験を経ているのかを知っておくこともとても重要です。
先程述べたように、研究授業を行うときに、指導案を作成します。その際に系統性について調べることはあります。
そのような特別な場合だけでなく、普段から、子どもが過去に学んだ教材や学習のめあてなどについて、簡単でもいいので、知っておくことはとても重要だと思います。
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音読指導については、次のページもお読みください。
音読指導(1)話すように読むに進む(内部リンク)
音読指導(2)真似して読む に進む(内部リンク)
音読指導(3)文意と息を合わせるに進む(内部リンク)
音読指導(4)読みやすくする工夫に進む(内部リンク)
音読指導(5)間を意識して読むに進む(内部リンク)
音読指導(6)早口言葉に進む(内部リンク)
音読指導(7)場所を変えての練習に進む(内部リンク)
音読指導(8)音読の録音に進む(内部リンク)
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