くちばしの教材研究をしてみました
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「くちばし」です。
くちばし:教材分析
🟠くちばし:教材分析
この教材は、光村図書の1年生の教科書に掲載されています。
<作者>
村田浩一(むらた・こういち)作
出典:光村図書の教科書のために書き下ろしされました。
村田浩一さんについて
1952年兵庫県神戸市で生まれました。獣医士、動物学の教授、動物園園長です。
大学卒業後、22年間、神戸市立王子動物園に勤務しました。日本大学教授などを経て2011年よりよこはま動物園ズーラシア園長と横浜市繁殖センター参与を兼務しています。
2022年より、公益社団法人日本動物園水族館協会の会長を務めています。国際的な視点に立って自然や動物を保護する取り組みを行うために、加盟する141の動物園と水族館と連携して地球環境保全のために動物園・水族館が貢献できることを模索されています。
動物に関係する本や図鑑や絵本などをたくさん書かれています。
今回の説明文にも出てくる「きつつき」「おうむ」「はちどり」など12種類の鳥の出てくる「くちばしのずかん のやまのとり」(金の星社・2015年)という本の監修をされています。
その他、監修を手がけた児童書に「くらべてみよう! どうぶつの赤ちゃん」シリーズ(ポプラ社)、「足のうら」シリーズ(鈴木出版)などがあります。
<題名>
題名は「くちばし」です。
題名から鳥のくちばしについて書かれたことがわかります。
<はじめとおわり>
○ はじめ
最初に、「いろいろなとりのくちばしのかたちをみてみましょう。」と書いています。
鳥のくちばしについて書いています。
○ おわり
この説明文には、「おわり」にあたる文はありません。
最後の文は、「そして、はなのみつをすいます。」と書かれています。
これは、3つめの鳥である「はちどり」の説明です。
もしあえて、「おわり」を作るとしたら、次のようになると思います。
・このようにして、とりは、くちばしをつかって、たべものをたべます。
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
<形式段落>
形式段落は、全部で16段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① いろいろなとりのくちばしのかたちをみてみましょう。
② さきのどがったくちばしです。
③ なんのくちばしでしょう。
④ これはきつつきのくちばしです。
⑤ きつつきは、とがったくちばしで、きにあなをあけます。
⑥ そして、なかのむしをたべます。
⑦ ふとくて、さきがまがったくちばしです。
⑧ なんのくちばしでしょう。
⑨ これはおうむのくちばしです。
⑩ おうむは、くちばしで、かたいたねのからをわります。
⑪ そして、なかのみをたべます
⑫ ほそくて、ながいくちばしです。
⑬ なんのくちばしでしょう。
⑭ これははちどりのくちばしです。
⑮ はちどりは、くちばしをはなのなかにいれます。
⑯ そして、はなのみつをすいます。
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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
<意味段落>
ここでは、4つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①段落:はじめ(序論)
くちばしの説明をすることについて書いています。
②~⑥段落:なか1(本論1)
きつつきのくちばしの説明をしています。
⑦~⑪段落:なか2(本論2)
おうむのくちばしの説明をしています。
⑫~⑯段落:なか3(本論3)
はちどりのくちばしの説明をしています。
<大事な言葉>
くちばし、するどい、とがる、きつつき、さき、おうむ、から、のびる、はちどり、みつ
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
<表現の工夫>
「くりかえし」
この説明文では、同じ表現か3回続けて使われています。
A:「(くちばしのようす)」くちばしです。
B: これは、なんのくちばしでしょう。
C: これは、「とりの名前」のくちばしです。
D : 「とりの名前」は、「くちばしのようす)」で、・・・します。
E:そして、・・・をたべます(すいます)。
同じ書き方をすることで、1年生の子どもはとても読みやすくなります。
「問いかけ」と「絵・写真」
「これは、なんのくちばしでしょう。」という表現と一緒に、鳥のくちばしの部分を大きくした絵をそえています。そして、その答えは、次のページに書くようにしています。
このようなクイズ形式の問いをすることで、子どもは続きを読みたいと強く思うようになります。
教科書をめくった次のページには、それぞれの鳥の全体像を写した写真と一緒に、特徴のあるくちばしを使ってできることが書かれています。
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
<要旨>
この説明文では、「いろいろな鳥が、それぞれの鳥の特徴的なくちばしをつかって食べものをたべている」ということが説明されています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
なお、このような説明文では、よく似た文章をたくさん読むことはとても大切です。私が子ども用に作っている「よみもの」で、鳥のくちばしや動物のしっぽについて、1年生の子どもでも読めるように、漢字を使わないで、分ち書きで書いた文章を作っています。
くちばし①に進む(外部リンク・よみもの):かわせみ
くちばし②に進む(外部リンク・よみもの):ぺりかん
くちばし③に進む(外部リンク・よみもの):すずめ
くちばし④に進む(外部リンク・よみもの):つばめ
しっぽ①に進む(外部リンク・よみもの):チーター
しっぽ②に進む(外部リンク・よみもの):カンガルー
⭐️ ⭐️
説明文に関係する次の項目についても、あわせて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
⭐️ ⭐️
他の説明文の教材分析もあわせてお読みください。
どうやってみをまもるのかな 教材分析058に進む(内部リンク)
たんぽぽのちえ 教材分析042に進む(内部リンク)
たんぽぽ 教材分析041に進む(内部リンク)
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