「たんぽぽ」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「たんぽぽ」です。
たんぽぽ:教材分析
🟠たんぽぽ:教材分析
この教材は、東京書籍の2年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
平山和子(ひらやま・かずこ)文・絵
参考図書:「たんぽぽ(かがくのとも傑作集)」(福音館書店・1976年)
上記の参考図書をもとに、この教科書のために書き下ろしされたものです。
平山和子さんについて
1934年(昭和9年)に東京で生まれました。東京芸術大学美術学部図案科卒業です。
日本の絵本作家です。
代表作に「くだもの」(福音館書店・1981年)「やさい」(福音館書店・1982年)「いちご(福音館書店・1989年)などがあります。
<題名>
題名は「たんぽぽ」です。
題名を見た時に、子どもの中には、自分がよく知っている黄色い花で、たんぽぽの綿毛で遊んだことがあると思う子どもがいるかもしれません。
題名から、子どもは、たんぽぽという草花について書かれていると思うでしょう。
<はじめとおわり>
○ はじめ
最初に、「たんぽぽは、じょうぶな草です。」と書いています。続いて、はがふまれても、つみとられても、ねが生きていて、あたらしいはをつくり出すことが書枯れています。
○ おわり
最後に、「このようにして、たんぽぽは、いろいろなところに生え、なかまをふやしていくのです。」と書かれています。
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
<形式段落>
形式段落は、全部で10段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① たんぽぽはじょうぶな草で、はがふまれたりつみとられたりしても、ねが生きている。
② ねをほってみると、ながいねで、百センチメートルいじょうのものもある。
③ はるのはれた日に花がさき、夕方かげるととじて、つぎの日、日がさすとまたひらく。
④ 花をよく見てみよう。
⑤ 花は小さな花のあつまりで、数えると百八十もあり、この花にみが1つずつできる。
⑥ 花がしぼむと、みがそだつ。みがじゅくすまで、花のくきはひくくたおれる。
⑦ みがじゅくし、たねができると、くきはおき上がり、たかくのびる。
⑧ はれた日にわた毛がひらき、わた毛は風にのってとおくに行くことができる。
⑨ わた毛は土におちると、たねがめをだし、そこでねをはってそだつ。
⑩ このようにして、たんぽぽはいろいろなところに生え、なかまをふやしていく。
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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
<意味段落>
ここでは、3つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①段落:序論(はじめ)
たんぽぽは、じょうぶな草で、その理由は、葉がなくなっても、根が生きているからという理由が書かれています。
②~⑨段落:本論(なか)
根、花、実、たね、わた毛について順番に説明しています。時間の経過にそって、それぞれの部分について詳しく説明しているので、たんぽぽのことがよくわかるようになっています。
⑩段落:結論(おわり)
最後に、たんぽぽの仲間の増やし方について書いています。
なお、私が子ども用に作っている「よみもの」で、「たんぽぽ」と「種を運ぶ」ことについて簡単な文を書いています。よければ、お読みください。
たんぽぽ dandelionに進む(外部リンク・よみもの)
種を運ぶ Carrying Seedsに進む(外部リンク・よみもの)
種を運ぶ② Carrying Seedsに進む(外部リンク・よみもの)
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
<大事な言葉>
たんぽぽ、じょうぶ、は、ね、花、しぼむ、じゅくす、わた毛、め、なかま
<表現の工夫>
「数量化」
この説明文では、2つの数字が出てきます。
一つは根の長さです。
「百センチメートル以上のものもありました。」ということからとても長いことがわかります。
ふたつめは、花の数です。
「小さな花を数えてみたら、百八十もありました。」ということからとても多いことがわかります。
具体的な数量化されたデータを根拠にすることによって、根の長さや花の数の大きさが強調されています。
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
「対比」
この説明文では、対比の表現がいくつか出てきます。
一つめは、日が当たる場合と当たらない場合の花の様子の違いです。
晴れた日に花が咲きます。夕方になり日がかげると花は閉じ夜の間は閉じたままです。そして、次の日日がさすと、また花が開きます。
二つめは、みが熟すまでと、熟してからの茎の様子の違いです。
実が熟すまでは、茎は低く倒れていて、実が熟すと、茎は高く伸びます。
天気や時間の経過などによって、たんぽぽが違う反応をすることが丁寧に書かれています。
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
「写真とイラスト」
この説明文には、扉の写真を含めて3枚の写真と、4枚のイラストがついています。
言葉で説明することに加えて、写真やイラストがあることで、たんぽぽの様子について、とてもよくわかるようになっています。
<要旨>
この説明文では、「たんぽぽはとてもじょうぶな草だ。」ということが説明されています。
根が長いだけでなく、花がたくさん作られ、その花一つ一つに種ができ、たくさんの種が綿毛について、風に吹かれて遠くに飛ばされて仲間を増やしていく。なんとも強くたくましい草だということがわかります。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
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なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
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他の説明文の教材分析も併せてお読みください。
たんぽぽのちえ 教材分析042に進む(内部リンク
ありの行列 教材分析010に進む(内部リンク)
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