「すみれとあり」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「すみれとあり」です。
すみれとあり:教材分析
🟠すみれとあり:教材分析
この教材は、教育出版の2年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
矢間芳子(やざま・よしこ)さん文
出典:「月刊かがくのとも4 すみれとあり」(福音館書店・1995年)
上記の出典をもとに、この教科書のために書き下ろしされたものです。
矢間芳子さんについて
1945年(昭和20年)に中国で生まれました。
日本の絵本作家です。
代表作に「くらしのなかのわた」(童心社・1985年)、「かき」(福音館書店・2004年)、「おおいぬのふぐり」(福音館書店・2009年)などがあります。
<題名>
題名は「すみれとあり」です。
すみれもありも、子どもに比較的なじみのある花ですし、虫です。
題名を見た時に、子どもの中には、自分がよく知っているすみれとありにどのような関わりがあるのかと思った子どもがいるかもしれません。
題名から、子どもは、すみれという草花と、ありという虫について書かれていると思うでしょう。
<はじめとおわり>
○ はじめ
最初に、「春の道ばたに、すみれの花がさいています。」と書いています。続いて、「まわりを見わたすと、すみれは、コンクリートのわれ目や、高い石がきのすきまにもさいています。」と書いています。そして、「どうして、こんなばしょにさいているのでしょうか。」という問いかけが書かれています。
○ おわり
最後に、「ありのすは、地面だけでなく、コンクリートのわれ目や、高い石がきにもあります。そのため、ありがはこんだすみれのたねは、そのようなばしょでもめを出し、花をさかせるのです。」と書かれていて、「はじめ」の部分で書かれていた問いかけに対する答えが書かれています。
<形式段落>
形式段落は、全部で11段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① 春の道ばたに、すみれの花がさいている。
② まわりを見ると、すみれは、コンクリートのわれ目や高い石がきのすきまにもさいている。
③ どうして、こんなばしょにさいているのか。
④ すみれは、花をさかせたあと、みをつけ、みの中にたくさんのたねができる。
⑤ よくはれた日に、みは3つにさけてひらく。
⑥ みの中からたねがいきおいよくとび出し、たねは近くの地面におちていく。
⑦ ありがすみれのたねを見つける。たねには、白いかたまりがついている。
⑧ ありはそのたねを、自分のすの中へはこんでいく。
⑨ しばらくすると、ありはたねを外にすてる。そのたねには、白いかたまりがない。
⑩ すみれは、なかまをふやすため、たねに白いかたまりをつけ、ありにはこんでもらう。
⑪ ありのすはいろいろなばしょにあるので、すみれはいろいろなばしょで花をさかせている。
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<意味段落>
ここでは、4つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①~③段落:序論(はじめ)
春にすみれがコンクリートのわれ目や高い石がきのすきまなどにさいているのはどうしてだろうか。
④~⑥段落:本論1(なか1)すみれのこと
すみれは、はながさいたあとみをつけ、みの中にたくさんのたねがある。はれた日にみがひらき、たねがいきおいよく地面におちる。
⑦~⑨段落:本論2(なか2)ありのこと
ありがすみれのたねを見つけ、自分のすにはこぶ。たねには白いかたまりがついていたが、すてられたたねには、かたまりがなくなっている。
⑩~⑪段落:結論(おわり)
すみれは、なかまをふやすため、たねに白いかたまりをつけ、ありにはこんでもらう。ありのすはいろいろなばしょにあるので、すみれは、いろいろなばしょで花をさかせている。
<大事な言葉>
すみれ、あり、われ目、石がき、たね、さける、いきおいよく、つぎつぎと、かたまり、す、どうやら、ーしか、ーだけ、
<表現の工夫>
「問いかけ」
この説明文では、1つの問いかけ文が使われています。
・どうして、こんなばしょに、さいているのでしょう。
このような問いかける言い方(説疑法)によって、読み手にいろいろなことを考えさせることができますし、さらに、読み手の知的好奇心が高まる効果があります。
「写真とイラスト」
この説明文には、扉の写真を含めて8枚の写真があります。
言葉で説明することに加えて、写真があることで、すみれやありの様子について、とてもよくわかるようになっています。
<要旨>
この説明文では、「すみれの花は、ありのおかげで、いろいろなところで花をさかすことができる。」ということが説明されています。
すみれは、ありに、白いかたまりというプレゼントをします。おかえしに、ありは、すみれのたねを、自分ではとばすことができるないようなとおくまではこんであげます。
お互いに共存していて、Win-Win(ウィン・ウィン)の関係になっています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
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