作文を書く時に、子どもをどういう状態にするといいのでしょうか。
小学校における作文指導の実際について続けます。
作文を書くときには、「書きたいことがある状態にする」ことが大切です。
書きたいことがある状態にする
<書きたいことがある状態にする>
子どもに作文を書かせるときに、まず、指導者が自分で書いてみる、ということ以外に気をつけていることに、最初に原稿用紙を配らない、ということがあります。
少し説明をしないとよくわからないかもしれませんが、作文の時間の最初に、原稿用紙を配らないということです。
最初に原稿用紙を配ってしまいますと、多くの子どもは、
「ああ、作文か、いやだなあ。何を書こうかな? 何も思い浮かばないな。」
と思います。こう思わせると、あまりよい作文は期待できません。
そこで、原稿用紙を渡す前に、子どもたちを、書きたいことがたくさんある状態にすることが大切だと思います。
作文のすすめ(1)で、子どもたちが作文を嫌う理由は、「何を、どう書けばいいかわからないから」と書きました。
この400字作文では、どう書けばいいかを端的に示しています。
でも、「何(言い換えると、どんな内容)」を書けばいいか示しているわけではありません。そこで、何(どんな内容)を書くのかということについて、しっかり考える時間をもたせる必要があります。
大きなテーマ(たとえば、「家族」や「好きなもの」)を与えて、学級全体で話し合ってみてもいいでしょうし、指導者の書いた作文を示して、手本を見せてもいいでしょう。
場合によっては、友達同士、簡単なインタビューをさせ合うという方法もいいかもしれません。
肝心なことは、原稿用紙を配る前に、書きたい内容をしっかり子どもの頭の中に満ち溢れさせることです。
子どもが「先生、はやく原稿用紙を配ってよ。」と言うような状態にすることが理想です。
「原稿用紙を最初に配らない」とはそういう意味です。
教員をしていたときに、作文の研究をしていたことがあります。
その際、感じたことは、作文の学習では、原稿用紙を配る前に、いかにたくさんの活動をさせて、子どもを書きたいという状態にさせるかということが大切だということです。
作文を書くためには、伝える内容がないと書けません。
書く内容が見つからない子どもには、書く内容を与える必要があります。
本を読んで、好きな人物や場面を選ぶ、ということをしてから、作文を書かせることもよいかもしれません。
好きなテレビ番組やアニメの面白い理由を考えるという課題でもいいかもしれません。
友だちや家族の好きなところをたくさんさがして、そのうちの2つに絞って詳しく書くということでもいいでしょう。
要は、子どもたちが書きたいことを見つける手助けをしっかりしてから、原稿用紙を配るということです。
作文の指導では、書く材料の収集や選択、構成などにも、記述にかけるのと同じ(場合によっては、それ以上の)時間をかける必要があります。
作文を書く少し前に予告をしておくというのもいいかもしれません。
「連休後、作文を書きますよ。」と伝えておくと、子どももその気になって話題を探してくると思います。
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他の作文の指導法については、次のページを併せてお読みください。
作文のすすめ(5)構想表についてに進む(内部リンク)
作文のすすめ(6)自由作文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(7)子どもの発達段階を知るに進む(内部リンク)
作文のすすめ(8)低学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(9)中学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(10)高学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(11)卒業文集に進む(内部リンク)
作文のすすめ(12)4こま漫画に進む(内部リンク)
作文のすすめ(13)意見文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(14)感想文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(15)縦書きと横書きに進む(内部リンク)
作文のすすめ(16)日記の指導に進む(内部リンク)
作文のすすめ(17)系統を考えた指導に進む(内部リンク)
作文のすすめ(18)お気に入りの表現に進む(内部リンク)
作文のすすめ(1)400字作文に戻る(内部リンク)
作文のすすめ(2)400字作文の実際に戻る(内部リンク)
作文のすすめ(3)指導前に、自分が書いてみるに戻る(内部リンク)
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