「数え方を生みだそう」という説明文の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、東京書籍の4年生の下巻に載っている「数え方を生みだそう」です。
数え方を生みだそう:教材分析
🟠数え方を生みだそう:教材分析
この教材は、東京書籍の4年下に掲載されている説明文です。
<作者>
飯田朝子(いいだ・あさこ)作
北村仁(きたむら・じん)絵
出典:教科書のために書きおろしされた文章です。
飯田朝子さんについて
1969年、東京都三鷹市生まれ、育ったのは、埼玉県です。
東京女子大学を卒業した後、慶應義塾大学院修士課程を修了し、東京大学大学院博士課程を修了されています。現在、中央大学の教授です。専門は、言語学です。いろいろなものの数え方の研究で知られています。
<題名>
題名は「数え方を生みだそう」です。
題名を読むと、数え方について書かれていることがわかります。数え方は、決まっているはずなのに、「生みだそう」と書かれているので、その辺りに、筆者の考えが出ていることが予想されます。
<はじめとおわり>
○ はじめ
筆者は「つくえの上にニンジンがあるとしましょう。」と書き出しています。そして、ニンジンの数え方について尋ね、ニンジンは本と数えることと、「本」は、日本語で、細長いものを数える言葉だということを述べています。
○ おわり
筆者は、「数えるものの特ちょうに注目して、友達と新しい数え方を考えてみませんか。」と勧めます。この文は、題名と密接な関係があります。
その上で、数え方のおもしろさや使い方について話し合うことで、将来、その数え方が広がっている可能性について述べています。
<形式段落>
形式段落は、全部で11段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① ニンジンに数え方は「本」で、日本では、細長いものを数える言葉である。
② ニンジンにはいろいろな特ちょうがあるか、日本語では長さに注目している。
③ アメリカの子どもに聞くと、ニンジンの数え方を自由に生み出すことができた。
④ 日本の数え方を教えると、アメリカ人の子どもは不思議そうな顔をした
⑤ 日本語の数え方は約五百種類あり、物をどう見ているかを決める役割を持つ。
⑥ 正しい数え方を知ることは大切だが、ものの見方をせばめることにもなる。
⑦ 日本語には、いくつかの特ちょうを表す数え方がないが、新しい数え方もある。
⑧ 例えば、「頭」の数え方は、外国の考えをヒントに新しく生まれたものである。
⑨ その後も、「棟とう」「邸てい」「貫かん」などの言葉が生み出された。
⑩ 数え方はいろいろな発想で生み出せるが、正しさとじゅうなんさが大切である。
⑪ 数える物の特ちょうに注目して、新しい数え方を考えると、広がることもあるだろう。
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<意味段落>
①~②段落:序論(はじめ):ニンジンにはいろいろな特徴があるが、日本ではその細長さに注目し「本」で数えている。
③~⑥段落:本論1(なか1):アメリカ人の子どもにニンジンの数え方を聞くと、いろいろな数え方が出てきた。それは、自分で生み出す発想があったからである。日本とアメリカでは、物の数え方に違う発想がある。
⑦~⑩段落:本論2(なか2):日本には、外国の考えを取り入れた「頭」のような新しい数え方があるし、それは今も増え続けている。
⑪段落:結論(おわり):数える物の特ちょうに注目して、新しい数え方を考えて見てほしい。言葉のおもしろさや使い方にも注目すると、その考えが将来広がることもあるだろう。
この説明文では、日本語の数え方ということに注目することで、言葉に関心をもつと同時に、新しい発想をもつことの大切さについて、説明しています。
<大事な言葉>
数え方、ニンジン1本、日本語、アメリカの子ども、物の特ちょう、発想、正しい数え方、一頭、このように、など
<表現の工夫>
「対比」
・ニンジンの数え方について、日本語の「本」と、アメリカ人の子ども考えた「ガリ」「オレンジ」「好き」という言葉を対比することで、日本人とアメリカ人の発想の違いを明瞭に伝えている。
「事例の列挙」
・日本語には約五百種類の数え方がある。その数え方の特徴について、「本」「まい」「ぴき」「こ」「台」という具体例を挙げて説明している。
・また、新しい数え方の例として「頭」だけでなく「とう(棟)」「てい(邸)」「かん(貫)」などの例を出すことで、新しい数え方が生み出されていることを示している。
「問いかけ」
次のような問いかけの文を使うことで、読み手の知的欲求を高めている。
・あなたはそのニンジンをどのように数えますか。
・なぜあなたはニンジンを見たとき、まずその細長さに注目したのでしょう。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」に挙げた視点のうちにいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
なお、数え方については、姉妹ブログとこのブログに関係する記事があります。
ものの数え方に進む(姉妹ブログ・よみもの)
遊び(2)なぞなぞ(1)に進む(内部リンク)
遊び(3)なぞなぞ(2)に進む(内部リンク)
⭐️ ⭐️
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
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