「どうぶつ園のじゅうい」という文章の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「どうぶつ園のじゅうい」です。
どうぶつ園のじゅうい:教材分析
🟠どうぶつ園のじゅうい:教材分析
この教材は、光村図書の2年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
植田美弥(うえだ・みや)作
祖敷大輔(そしき・だいすけ)絵
出典:この教科書のために書き下ろされたものです。
植田美弥さんについて
1963年(昭和38年)に神奈川県で生まれました。東京農工大学農学部獣医学科を卒業しています。獣医です。
大学卒業後、民間の獣医科病院にて小動物の治療をしていました。サンシャイン国際水族館(現サンシャイン水族館)、金沢動物園などの勤務を経て、1997年4月、よこはま動物園ズーラシアの開園準備スタッフとなり、現在に至ります。
日本野生動物医学会専門医協会認定専門医(動物園動物医学)です。
「どうぶつ園のじゅうい」(全3巻・金の星社・2017年)の監修をしています。
<題名>
題名は「どうぶつ園のじゅうい」です。
題名を見た時に、子どもは、動物園で働く獣医さんのことについて書いていると思うでしょう。
<はじめとおわり>
○ はじめ
最初に、「わたしは、どうぶつ園ではたらいているじゅういです。」と書いています。そして、獣医がどのような仕事をしているのか簡単に書いています。
○ おわり
最後に、「これで、ようやく長い一日が終わります。」と書かれています。
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
<形式段落>
形式段落は、全部で9段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① わたしは、どうぶつ園のじゅういで、しごとは、どうぶつが元気にくらせるようにすることだ。
② 朝のしごとは、どうぶつ園を見回ることで、動物に顔をみせて、なれてもらう。
③ しいくいんさんからいのししのおなかに赤ちゃんがいるかたしかめてほしいとたのまれた。
④ お昼前、けがをしたにほんざるがくすりをのまないので、くふうしてのませた。
⑤ お昼すぎ、はぐきがはれているワラビーのちりょうを、しいくいんさんといっしょにした。
⑥ 夕方、ペンギンがボールペンをのみこんだとのこと。くすりをのませてはかせることができた。
⑦ 一日のしごとのおわりは、気づいたことを日記に書くことで、つぎにやくにたつ。
⑧ どうぶつ園を出る前には、びょうきの元になるものを持ち出さないためにおふろに入る。
⑨ これで、ようやく長い一日がおわる。
1234567890123456789012345678901234567890
説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
<意味段落>
ここでは、3つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①段落:はじめ(序論)
わたしは、どうぶつ園のじゅういです。しごとは、どうぶつが元気にくらせるようにすることです。どうぶつがびょうきやけがをしたときちりょうをします。ある日のしごとを書いてみましょう。
②~⑧段落:なか(本論)
朝からどうぶつえんを出るまで、いろいろな仕事が続きます。①見回り、②いのししに赤ちゃんがいるかどうかのたしかめ、③にほんざるにくすりをのませること、④ワラビーのはぐきのちりょう、⑤ボールペンをのみこんだペンギンのちりょう、⑥気づきを日記に書くこと、⑦体をきれいにするためにふろに入ることなどです。
⑨段落:おわり(結論)
これで、ようやく、長い一日がおわります。
<大事な言葉>
どうぶつ園、じゅうい、ちりょう、いのしし、にほんざる、にがい、ワラビー、はぐき、はれる、ばいきん、あばれる、ペンギン、ボールペン、手当て、きろく
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
<表現の工夫>
「同類の事例の列挙」
ここでは、朝からどうぶつ園を出る前まで、時間ごとにたくさんの仕事が書いてあります。
①見回り、②いのししに赤ちゃんがいるかどうかのたしかめ、③にほんざるにくすりをのませること、④ワラビーのはぐきのちりょう、⑤ボールペンをのみこんだペンギンのちりょう、⑥気づきを日記に書くこと、⑦体をきれいにするためにふろに入ることの7つです。
本当にたくさんの仕事をしていることがわかります。このように、同類の事例を列挙することによって、じゅういさんの仕事のたいへんさがよくわかります。
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
「時間」
ここでは、朝からどうぶつ園を出る前まで、時間ごとに仕事を順番に書いています。
「朝」「見回りがおわるころ」「お昼前に」「お昼すぎには」「夕方」「一日のしごとのおわり」
「どうぶつ園を出る前」
このように、書いてあることで、じゅういさんの仕事の様子が順番によくわかります。
「写真とイラスト」
この説明文には、扉のイラストや小さな動物のイラストも含めて、イラストが7枚と写真が6枚ついています。
言葉で説明することに加えて、イラストや写真があることで、じゅういさんの仕事の様子がとてもよくわかるようになっています。
<要旨>
この説明文では、「どうぶつが元気にくらせるようにするためのじゅういの仕事」について説明されています。じゅういさんの仕事は、本当にたくさんあります。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
⭐️ ⭐️
他の説明文の教材分析も併せてお読みください。
たんぽぽのちえ 教材分析042に進む(内部リンク)
ありの行列 教材分析010に進む(内部リンク)
たんぽぽ 教材分析041に進む(内部リンク)
コメント