説明文の教材研究(3)文章の構成

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説明文では、文章の構成が大切ですよね。

 説明文の教材研究の仕方について書いています。

 今回は、「説明文の教材研究:文章の構成」についてです。

説明文の教材研究:文章の構成

🟠説明文の教材研究:文章の構成

<はじめとおわり>

 説明文の文章の構成は、いろいろありますが、一般的には、「はじめ」「なか」「おわり」の3つにわかれていることが多く、「序論」「本論」「結論」ということもあります。

 元筑波大学附属小学校教諭で、現在、桃山学院教育大学教授二瓶弘行氏によると、はじめ(序論)は、「①話題の提示、②問題提示、③はじめのまとめ」、おわり(結論)は、「①筆者の考え・提案、②問いの答え、③おわりのまとめ」が書かれていることが多いとのことです。

<なかに書かれていること>

 では、「なか(本論)」には、何が書かれているのでしょうか。

「なか(本論)」には、具体例や作者の意見を支える事実や事象などが書かれています。

 前回も取り上げた東京書籍の1年生の教科書に載っている説明文教材「いろいろなふね」では、「なか(本論)」の部分に、「客船」「フェリーボート」「漁船」「消防艇」という4つの船について書いています。(※ここでの説明では、読みやすくするために、ひらがなで書かれているものを漢字に変えて表現します。)

いろいろなふね」の「なか」の部分に具体的に何が書かれているのか、もう少し詳しく見ていきます。

 この説明文では、4つの船について、それぞれ3つの文で書かれています。

 第1文では、「(船の種類)は、・・・・するためのふねです。」というように、船の役目について書いています。

・客船―たくさんの人をはこぶ

・フェリーボート―たくさんの人と自動車をいっしょにはこぶ

・漁船―魚をとる

・消防艇―船の火事をけす

 第2文では、「このふね(の中に)は、・・・があります(つんでいます)。」というように、船の中にあるものについて書いています。

・客船―客室や食堂

・フェリーボート―客室や船を止めておく所

・漁船―魚の群れを見つける機械や網

・消防艇―ポンプやホース

 そして、第3文では、人や船ができることについて書いています。

・客船―客室で休む、食堂で食事をする

・フェリーボート―車を船に入れてから、客室で休む

・漁船―見つけた魚を網でとる

・消防艇―火事があると、水や薬をかけて火を消す

 読み比べていただくとわかると思いますが、この4つの具体例は、たいへんよく似た形式で書かれています。

 高学年の子どもに、この説明文を使って、説明文の「はじめ、なか、おわり」のような基本的な文章の構成について説明をすると、理解しやすいので、先程紹介した二瓶弘行氏は、高学年を担任した時に、この説明文を使って、説明文の文章の構成について簡単に説明するそうです。

<事柄の順序>

 よく似た形式で4つの具体例を使って船について説明していますが、この4つは、どのような順序で書かれているのでしょうか。

 小学校学習指導要領では、低学年の読むことの指導事項について、次のような記載があります。

時間的な順序や事柄の順序などを考えながら,内容の大体を捉えること。

小学校学習指導要領

 低学年の説明文では、具体例や作者の意見を支える事実や事象などが、「時間的な順序や事柄の順序」に基づいて書かれていることが多いです。

 この「いろいろなふね」という説明文では、「事柄の順序」というのが、身近なものや分かりやすいものから、あまり身近でないものについて書かれています。

 船で旅行に行ったり、本州に住んでいて、四国や九州などに田舎があり、夏休みなどに帰省のために船に乗ったりしなければ、なかなか客船やフェリーボートに乗ることはありませんが、乗ろうと思えば乗れるのが客船やフェリーボートです。比較的身近な船です。

 それらの船に比べると、漁船や消防艇には、なかなか乗る機会はありません。ただ、海釣りなどを漁船を使ってすることもありますので、漁船には、乗ろうと思えば乗ることができます。

 しかし、消防艇には、消防隊員にでもならなければ乗れません。消防隊員でもほとんどの人は、消防車や救急車に乗るでしょうから、消防艇には、一般人が乗ることはまずありません。

 また、それぞれの船について書いた3つの文も、それぞれ、「船の役目」「船の中にあるもの」「人や船ができること」という順番で書かれています。

 どのような順序や順番で、具体例を取り上げているのかを考えることも教材研究になります。

 説明文の簡単な文章の構成について理解しておくことは、自分が文章を書く時にもたいへん有効です。

 はじめ、なか、おわりの基本的な文章の構成を知っておくと、自分が文章を書くときにも役に立ちます。

 何が書かれているかということだけでなく、どのような順序や順番で書かれているかを知ることも、説明文の学習では、大切なことです。

 なお、このような簡単な文章の構成で作文を書く指導法について、次のページに書いていますので、併せてお読みください。

作文のすすめ(1)400字作文に進む内部リンク

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 なお、「読むこと」の指導に関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(1)に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)に進む内部リンク

物語文の指導の仕方(1)に進む内部リンク

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