「プロフェッショナルたち」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「プロフェッショナルたち」です。
プロフェッショナルたち:教材分析
🟠プロフェッショナルたち:教材分析
この教材は、東京書籍の6年生の教科書に掲載されている説明文です。
この教材は、獣医師、板金職人、パティシエの3人のプロフェッショナルについて書かれた文章です。
<題名>
題名は「プロフェッショナルたち」です。
この題名を見ただけで、複数のプロフェッショナルについて書かれた文章であることがわかります。
<はじめとおわり>
○ はじめ
「プロフェッショナルたちの姿を通して、仕事のおく深さ、働くことのだいご味を考えてみたい。」と書いています。
この説明文では、プロフェッショナルたちの姿を通して仕事について書かれていることがわかります。
○ おわり
この説明文では、3人めのプロフェッショナルである「杉野英実さん」の言葉で終わっています。
はじめに対応するようなおわりの文章があるわけではありません。
<形式段落>
形式段落は、全部で35段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① プロフェッショナルの姿を通して、仕事のおく深さ、働くことのだいごみを考えたい。
海獣医師、勝俣悦子の仕事
② 千葉の水族館の海獣医師、勝俣悦子さんは、この世界のパイオニアの一人である。
③ 子供のころから動物好きだった勝俣さんは、大学の獣医学科卒業後、海獣医師になった。
④ 大学で学んだのは、家畜の治療法だったので、怪獣医師の仕事は手探りで始めた。
⑤ 勝俣が愛情をそそいだ動物は、アイルランド生まれで病気がちのシャチのカレンだった。
⑥ 勝俣が怪獣医師になって十年後、カレンが感染症になり治療したが、なくなってしまう。
⑦ セイウチのムックも感染症になり、覚悟を決め、きばをぬく手術をすることにした。
⑧ セイウチの手術での問題は、厚いしぼうの中の静脈にますいの注射を打つことだった。
⑨ 何回も注射をさしては捨てをくり返して、ますいに成功し、きばをぬき、命を救った。
⑩ せめなければ道は開けない、その覚悟を持つことが海獣医師の責任だと勝俣はさとった。
「勝俣悦子の考えるプロフェッショナルとは」
⑪ 動物にとって何がだいじかということを、ゆるぎないものとして持つことである。
板金職人、国村次郎の仕事
⑫ 瀬戸内海を望む山口県下松市は、知る人ぞ知る新幹線を作る町工場の町である。
⑬ 板金職人、国村次郎は、工場長として職人を束ね、新幹線の先頭車両の部品を作る。
⑭ 国村の得意技術は「打ち出し板金」で、世界の列車造りにたずさわってきた。
⑮ 単純に見える打ち出し作業だが、国村は並外れた職人わざを持っている。
⑯ 国松は十七歳で就職し、打ち出しに板金に出会い、一日中ハンマーをふり続けた。
⑰ 入社の翌年、独立した先輩にさそわれ、新幹線の仕事に飛びこむことにした。
⑱ 車両製造の仕事には波があり、車両の仕事が来るとどんな困難な仕事でも行った。
⑲ リニアモーターカーの仕事がまいこみ、困難な課題に頭をかかえつつ取り組んだ。
⑳ 試行錯誤を続け、ジュラルミンの打ち出し法を編み出し、仕上がることができた。
㉑ 六十歳を超えた今も、現場に立ち続ける国村は、日本の職人魂を持っている。
「国村次郎の考えるプロフェッショナルとは」
㉒ わざをみがきあげてこと職人であり、みがけば必ず応えてくれ、わざは裏切らない。
パティシエ、杉野英実の仕事
㉓ その男の菓子は、本場フランスで「ほかのどこにもない菓子」と呼ばれる。
㉔ パティシエ、杉野英実は、だれも見たことのない菓子を作り、全てが新しい。
㉕ 中学二年の誕生日、ホテルのホールケーキを食べて、菓子職人になりたいと思った。
㉖ 高校卒業後、ホテルの菓子製造部門に就職するが、もっと高めたいと思った。
㉗ 自分を高めるためフランスで修行するが、最初は雑用ばかり押しつけられた。
㉘ パリで食べたペルティエの菓子にほれ、修行を申し出て何回も手紙を書いた。
㉙ 4年続けた手紙から修行を許されたが、ペルティエの菓子には奥義はなかった。
㉚ かざりつけもふつうだったが、少しでもいたむと全て取り除いていた。
㉛ ペルティエの厳しさから、あたりまえを重ねると特別になることを知った。
㉜ 杉野は栄光に背を向け、せまい厨房で自分との果てしないたたかいを始めた。
㉝ 杉野の目指す菓子は、人を幸せにする菓子であり、いっさいの妥協を許さない。
「杉野英実の考えるプロフェッショナルとは」
㉞ 一つの道、自分の職業をひたすらきわめていく人で、幸せを感じてもらいたい。
㉟ 自分の作るお菓子には終わりがない、あきらめないで自分を高めていきたい。
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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
<意味段落>
①段落:序論(はじめ)
プロフェッショナルたちの姿を通して、仕事のおく深さ、働くことのだいごみを考えたい、と筆者は書いています。
②~⑪段落:事例1(なか1)
海獣医師、勝俣悦子さんの仕事について書いています。勝俣さんは、シャチのカレンの命を救えなかった経験を通して、同じような感染症にかかったセイウチのムックを助けるために、ますいに成功し、きばをぬいて、命を助けることに成功します。
⑫~㉑段落:事例2(なか2)
板金職人、国村次郎さんの仕事について書いています。国村さんは、新幹線の部品を作るために、打ち出し板金の仕事を続けています。リニアモーターカーの仕事にも取り組みました。
㉒~㉟段落:事例3(なか3)
パティシエ、杉野英実さんの仕事について書いています。杉野さんは、誕生日に食べたケーキから菓子職人になろうと思いました。フランスにわたり、菓子を食べるお客さんに幸せを感じてもらえるように、自分を高める修行を続けています。
この説明文には、結論にあたるおわりの段落はありません。
<大事な言葉>
プロフッショナル、斬新、海獣医師、繁殖、人工授精、感染症、脳裏、覚悟、静脈、板金、試行錯誤、漆器、濃厚、転機、新進気鋭、奥義、妥協、没頭
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
<表現の工夫>
「写真」
この説明文では、3人のプロフェッショナルについて5名の写真を使って、仕事の内容がわかるようにしています。具体的な写真でその人を見ることで、どのような人がよりよくわかるようになっています。
「同類の事例の列挙」
3人のプロフェッショナルが仕事に就くところから、仕事に就いて熱心に仕事を続けている様子を紹介することで、仕事のおく深さ、働くことのだいご味について詳しく述べています。
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
「引用」
それぞれの文章には、最後に、3人の職業人の考える「プロフェッショナル」についての考えが「引用」する形で書かれています。
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
<要旨>
この説明文では、3人のプロフェッショナルについて、どのような発想で、斬新な切り開き、どんな試行錯誤を経て成功したのかを具体的に書いています。この3人の仕事への取り組み方を読むことで、読者が、自分自身がどのように仕事を進めていくか考えるきっかけにしようとしています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
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