説明文の教材研究(2) はじめとおわり

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説明文では、はじめとおわりが大切なんですね。

 説明文の教材研究について書いています。

 今回は、「説明文の教材研究:はじめとおわり」についてです。

説明文の教材研究:はじめとおわり

🟠説明文の教材研究(2)はじめとおわり

<教材文:いろいろなふね>

 今回は、実際の教材を使って説明をします。

 東京書籍の1年生の下巻に「いろいろなふね」という説明文があります。

 最初の文が「ふねには、いろいろなものがあります。」となっています。

 そして、客船、フェリーボート、漁船、消防艇について3文ずつ使って説明しています。

 そして、最後の文が、「いろいろなふねが、それぞれのやく目にあうようにつくられています。」となっています。

 物語文と説明文の大きな違いは、分け方です。

 物語文は、一般的に場面で分けます。

 説明文は、段落で分けます。

 どちらもいくつかの文で成り立っていることにかわりはないのですが、一般的にそのように使い分けています。

 説明文を教材分析する場合、構成に関することを考える必要があります。

 一般的に、説明文では、「はじめ」「なか」「おわり」の3つにわかれていることが多いです。先程の「いろいろなふね」でも、最初の文が、「はじめ」4つの船について書かれた部分が「なか」最後の文が「おわり」になります。

 低学年の説明文などは、平易な言葉で書かれていますし、構成も複雑ではありません。

 中・高学年でも、「はじめ」「なか」「おわり」という3つの言葉で説明する方が理解しやすいことが多いですが、もう少し専門的な言葉にかえて教えることもあります。「序論」「本論」「結論」という言葉です。

<二瓶弘行氏の考え>

 元筑波大学附属小学校教諭で、現在、桃山学院教育大学教授の二瓶弘行氏は、ある講演会で、「はじめ(序論)」と「おわり(結論)」がどのように書かれているのかを把握することが大切だと話されていました。

 二瓶弘行氏によると、はじめ(序論)は、次の3つの事柄が書かれていることが多いそうです。

①話題の提示、②問題提示、③はじめのまとめ

 そして、おわり(結論)は、次の3つの事柄が書かれていることが多いそうです。

①筆者の考え・提案、②問いの答え、③おわりのまとめ

 二瓶弘行氏が書かれた「説明文一日講座:これ一冊で説明文の授業がわかる!」(文溪堂・2010年刊)によると、少し表現の仕方を変えて、はじめとおわりについて次のように説明しています。

はじめの大部屋」の三つの性格

① 話題の提示

② 大きな問いの投げかけ

③ はじめのまとめ

おわりの部屋の」三つの性格

① おわりのまとめ

② 大きな問いの答え

③ 筆者の考え・読者へのメッセージ

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 説明文の教材研究をする上で、はじめ(序論)とおわり(結論)の性質について知っておくということは、とても重要なことです。

<中西一弘氏の考え>

 以前、大阪教育大学で、長年、国語教育の指導法について研究をなされ、今は、大阪教育大学名誉教授中西一弘先生とお話をする機会がありました。

 教育学部の国語教育専攻の大学生や大学院のゼミ生に対して、長年多くの卒論や修論を指導されてきています。

 中西一弘先生に、大学の先生が、一時期にたくさんの卒論や修論を読む秘訣についてお聞きしたことがあります。

 それに対する中西先生の話は、次のようなものでした。

 はじめに、論文の最初と最後だけを読むことだそうです。

 論文の最初(はじめ・序論)と最後(おわり・結論)を読み比べてみて、きちんと書かれていれば、論文の内容(本論)はしっかりしているだろうし、読む期待感があるそうです。

 しかし、はじめとおわりに整合性がない場合は、内容もあまりよくないことが多いそうです。

 説明文を読む秘訣の1つは、最初に「はじめと終わりだけを読む比べる」ということです。

<はじめとおわりを読む>

 説明文の教材研究や教材分析をする場合に、「はじめとおわりだけを読む」という方法があります。

いろいろなふね」という説明文は、「ふねには、いろいろなものがあります。」「いろいろなふねが、それぞれのやく目にあうようにつくられています。」という2文ではじめとおわりが成り立っています。

 この説明文では、いろいろな船について書くつもりだな、そして、その船は、それぞれの役目にあうように作られているのだな、ということがわかります。

 それでは、なか(本論)では、様々な役目と作りをもったどのような船について書かれているのか、詳しく読んでいこうということになります。

 説明文では、なか(本論)の部分に、その説明文の中心的な考えが書かれています。当然、なか(本論)をしっかり読むことが大切です。

 しかし、そのために、はじめとおわりを最初に読むことで、内容のあらましを知り、なかを読む構えができるので、この方法は、とてもよい方法だと思います。

 特に、高学年のように長い説明文では、重要な視点です。全体を読むのも大切でしょうが、最初に、はじめとおわりを読んで、全体像をつかむというのは、大切なことです。

 今回は、説明文の教材研究の1つの方法として、「はじめ(序論)」と「おわり(結論)」を読み比べるとよいということについて書きました。

 なお、関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に戻る内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(1)に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)に進む内部リンク

物語文の指導の仕方(1)に進む内部リンク

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