アップとルーズで伝える 教材分析045

教材分析
つばさ
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アップとルーズで伝える」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「アップとルーズで伝える」です。

アップとルーズで伝える:教材分析

🟠アップとルーズで伝える:教材分析

 この教材は、光村出版の4年生の教科書に掲載されている説明文です。

<作者>

 中谷日出(なかや・ひで)作

 出典:この教科書のために書き下ろされたものです。

 中谷日出さんについて

 1955年(昭和30年)に神奈川県で生まれました。

 東京芸術大学院修了です。しばらくフリーで、広告プランニング・広告映像アートディレクターとして活動した後、1991年にNHKに入局しました。

 アートディレクターを勤めた後、芸術文化、デジタル関連担当の解説委員をしていました。

 2018年に退局後、キューブに所属しています。

 京都大学大学院特任教授、東京国際工科専門職大学教授をしています。

<題名>

 題名は「アップとルーズで伝える」です。

 アップもルーズも子どもには、あまりなじみのない言葉なので、子どもには、どのようなことが書かれた内容かよくわからないかもしれません。

<はじめとおわり>

はじめ

 最初に、「テレビで、サッカーの試合を放送しています。今は、ハーフタイム。もうすぐ後半が始まろうとするところで、画面には会場全体がうつし出されています。両チームの選手たちは、コート全体に広がって、体を動かしています。観客席には、ほぼまんいんといっていいでしょう。」と書いています。

 その後、サッカー場全体の描写が続きます。

おわり

 最後に、「同じ場面でも、アップとルーズのどちらで伝えるかによって伝わる内容がかわってしまう場面があります。だからこそ、送り手は伝えたいことに合わせて、アップトルーズを選んだり、組み合わせたりする必要があるのです。みなさんも、クラスの友達や学校のみんなに何かを伝えたいと思うことがあるでしょう。そのときには、ある部分を細かく伝える「アップ」と、広いはんいの様子を伝える「ルーズ」があることを思い出しましょう。そうすることで、あなたの伝えたいことをよりわかりやすく、受け手にとどけることができるはずです。」と書かれています。

 おわりには、筆者の主張が書かれています。

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

<形式段落>

 形式段落は、全部で8段落です。

 形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。

① テレビでサッカー放送をしている。画面には会場全体がうつされ、全体を見ることができる。

② いよいよ後半が始まる。画面は、コート中央の選手をうつす。顔はボールをける方を見る。

③ 広いはんいをうつすのか「ルーズ」、ある部分を大きくうつすのは「アップ」だ。

④ アップは、細かい部分の様子がよく分かる。でも他の部分はアップでは分からない。

⑤ ルーズは、広いはんいの様子がよく分かる。でも各選手の顔つきや視線は分からない。

⑥ このように、アップとルーズには伝えられることと伝えられないことがある。

⑦ 写真にもアップとルーズのものがある。伝えたい内容に合わせて写真を選んでいる。

⑧ 送り手は伝えたいことに合わせてアップとルーズを選んだり組み合わせたりする必要がある。

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 なお、この部分については、リライト教材として、漢字に読みがなをつけたものを、姉妹ブログの「よみもの」に用意しています。

アップとルーズで伝える・要点に進む外部リンク

説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

<意味段落>

 ここでは、3つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。

①~③段落:序論(はじめ)

 最初はテレビ画面での全体の様子、次に、テレビ画面での細かな様子。前者をルーズと言い、後者をルーズと言うことの説明した後で、アップとルーズでは、どんなちがいがあるのでしょう、と疑問を呈しています。

 ここまでの3段落で、話題の提示をしています。

④~⑥段落:本論1(なか1)

 4段落ではアップの詳しい説明をし、5段落ではルーズの詳しい説明をしています。そしてアップとルーズにはそれぞれ伝えられることと伝えられないことがあり、テレビでは、ふつう、何台ものカメラを用意して、目的に応じてアップとルーズの切りかえをしながら放送していることを説明します。

⑦段落:本論2(なか2)

 写真もアップとルーズがあることを伝え、新聞などでも伝えたい内容に合わせて、いちばん合うものを選んでいることを説明しています。

⑧段落:結論(おわり)

 同じ内容でも、アップとルーズのどちらで伝えるかによって伝わる内容がかわる。だから、送り手は伝えたいことに合わせてアップとルーズを選んだり組み合わせたりする必要がある。そして、読み手である私たちにも、伝えたい内容に合わせて、アップとルーズを使い分けることの大切さを思い出すように伝えています。

<大事な言葉>

 放送、ハーフタイム、画面、こうふん、ルーズ、アップ、目的、新聞、取材、受け手

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

<表現の工夫>

対比

 この説明文では、たえず「アップ」と「ルーズ」を対比しながら説明をしています。多くは、テレビでのアップとルーズについてですが、写真においても、アップとルーズについて説明しています。

 アップとルーズを対比する述べ方をすることで、説明する対象である「アップ」と「ルーズ」の特質が明瞭に読み手に伝わるようになっています。

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

問いかけ

 この説明文では、アップとルーズについて簡単に説明した後、3段落の最後で次のように書きます。

アップとルーズでは、どんなちがいがあるのでしょう。

 この問いかける言い方(疑説法)によって、読み手の知的好奇心が高ま流ようになります。

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

写真

 この説明文には、5枚の写真があります。

 アップとルーズとはどのようなものかが写真があることで、読み手によく伝わります。

 言葉で説明することに加えて、具体的的なアップとルーズの写真があることで、それぞれの性質や特徴がとてもよくわかるようになっています。

<要旨>

 この説明文では、「説明の仕方にはアップとルーズがあり、自分の伝えたいことに合わせて、アップかルーズかを選んだり、組み合わせたりするとよいでしょう。」ということが書かれています。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

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 なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)に進む内部リンク

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 他の説明文の教材分析も併せてお読みください。

ウナギのなぞを追って 教材分析004に進む内部リンク

数え方を生みだそう 教材分析005に進む内部リンク

さわっておどろく 教材分析006に進む内部リンク

ヤドカリとイソギンチャク 教材分析043に進む内部リンク

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