「新聞記事を読み比べよう」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「新聞記事を読み比べよう」です。
新聞記事を読み比べよう:教材分析
🟠新聞記事を読み比べよう:教材分析
この教材は、東京書籍の5年生の教科書に掲載されている説明文です。
東京書籍の教科書では、2年から6年生にかけて2つのよく似た文章を読みくらべる教材を作成し掲載しています。
2年生では「サツマイモのそだて方」、3年生では「ほけんだより」、4年生では「広告」、5年生では「新聞記事」、6年生では「インターネットの投稿」を取りあげて、比べています。
<作者>
「新しい国語」編集委員会・作
この説明文には、はじめの文章と「新聞記事の構成と写真の役割」と2つの新聞記事があります。これらの4つの文章は、東京書籍の教科書の編集委員会により書き下ろされました。
《はじめの文章》
題名は、「新聞記事を読み比べよう」です。
<はじめとおわり>
○はじめ
・この文章では、次のように書き出しています。
わたしたちは毎日の生活の中で、様々な情報に接しています。新聞、テレビ、インターネットなど、情報を伝えるための手段のことをメディアといいます。
○おわり
・この文章では、次のような文章で終わっています。
ここでは、そんな新聞の読み方について考えてみましょう。
<形式段落>
① 身の回りには新聞やテレビなどの情報を伝えるメディアがあり、メッセージを伝えている。
② メディアの中でも新聞は身近であり、新聞を読んだり、学級新聞を作ったりしただろう。
③ 新聞は、社会の出来事を早く多くの人に知らせる印刷物だ。
④ 全国紙の新聞の1ページは、約一万八百字で、四百字原こう用紙で約二十七枚に当たる。
⑤ 新聞には、報道記事、社説、コラム、解説、投稿などいろいろな種類の記事がある。
⑥ 新聞の紙面は、社会、経済、政治、産業、文化、スポーツなど分野別に構成されている。
⑦ また、新聞には、写真や図表があり、メッセージを強める働きを持っている。
⑧ ここでは、新聞の読み方について考えよう。
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<意味段落>
ここでは、3つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①~②段落:はじめ(序論)
わたしたちの身の回りには、情報を伝えるためのさまざまなメディアがあります。メディアには、新聞、テレビ、インターネットなどがあり、メッセージを伝えようとしています。その中でも新聞は身近なものでしょう。
③~⑦段落:なか(本論)
なかでは、新聞について詳しく書かれています。
新聞は、社会の出来事を早く多くの人に知らせる印刷物で、新聞の1ページは、約一万八百字で、四百字の原こう用紙で約二十七枚に当たります。新聞には、報道記事、社説、コラム、解説、投稿などいろいろな種類の記事があり、新聞の紙面は、社会、経済、政治、産業、文化、スポーツなどの分野別に構成されています。
⑧段落:おわり(結論)
ここでは、新聞の読み方について考えてみましょう。
<大事な言葉>
情報、新聞、インターネット、手段、メディア、事件、事故、報道記事、社説、コラム、解説、投稿、背景、えいきょう、経済、政治、産業、国際、特徴、図表、資料
<要旨>
この説明文では、新聞について詳しく書いてあります。そして、実際に新聞の読み方について考えてみことをすすめています。
《新聞記事の構成と写真の役割》
「記事の構成」
新聞記事は、見出し、リード、本文、写真・キャプションなどで構成されている。
「見出し」
記事の中心を短い言葉で表し、読み手の目をひくように大きな文字で書かれている。
「リード」
記事の内容を短くまとめたもので、見出しやリードを読むだけで、内容のあらましをつかむことができるようになっている。
「本文」
特に出来事を伝える新聞記事では、「いつ」「どこ」「だれ」「何を」「なぜ」「どのように」の六つの要素をおさえて書かれているので、読み手は出来事をくわしく知ることができる。
「写真・キャプション」
写真は、記事の内容を理解するのに役立ち、記事以上に状況を伝えることもある。
キャプションは、写真や図にそえられた短い説明の文のことである。
「写真の役割」
写真は、同じものを写しても、アップかロングなどとり方のちがいで、受け手の印象は変わってくる。どのような写真が選ばれるのかは、書き手の意図によって変わってくる。
「アップ」
対象の一部分を大きく写すこと。
「ロング」
対象全体が入るように、遠くから写すこと。ルーズともいう。
《A社の記事》
「見出し」
強いぞ! 宮城マックス9連覇
王者の底力、チームプレーで勝利
「リード」
車いすバスケットボール日本選手権の決勝が、5月5日、東京体育館で行われた。宮城マックスがノーエクスキューズ(東京)を55対52で破り、9大会連続の優勝を果たした。
「本文」
① 前半で優位に立ったのはノーエクスキューズ。藤本選手をマークして得点させない。
② 後半で藤本選手のシュートも決まり出す。宮城マックスはリードを許し終ばんをむかえる。
③ 残り10分豊島選手の得点で同点になった後、ついに逆転。宮城マックスの優勝が決まる。
④ 最優秀選手に選ばれた藤本選手は「勝てた要因はチームプレー」と試合をふり返った。
「写真・キャプション」
藤本選手がシュートを放つ様子を真ん中にした試合中の写真を掲載している。
キャプション:シュートを放つ宮城マックスの藤本選手
「A社の記事の特徴や意図」
A社の記事では、試合の様子を詳しく説明しています。試合で大活躍した藤本選手の様子を中心にして記事が書かれています。
写真も藤本選手の活躍がわかる写真を掲載しています。
《B社の記事》
「見出し」
宮城マックス9連覇 夢は世界へ
震災乗りこえ、ちょう戦は続く
「リード」
車いすバスケットボール日本選手権で、宮城マックスが9大会連続の優勝を果たした。最強のチームは、苦難を乗りこえ前進を続ける。
「本文」
① 車いすバスケットボール日本選手権の決勝が、5月5日行われ、宮城マックスが優勝した。
② 前人未到の9連覇だが、強いチームになるまで、順調だったわけではない。2011年の東日本大震災のとき、岩佐かんとくの自宅も被害を受けた。でも選手の熱意により練習を再開した。
③ 2016年のパラリンピックでは、宮城マックスの3選手が出場した。ちょう戦は続く。
「写真・キャプション」
試合後、観客に手を振る宮城マックス選手の様子を写した写真を掲載している。
キャプション:試合後、応えんに応える宮城マックス
「B社の記事の特徴や意図」
B社の記事では、9連覇に至るチームの様子を詳しく説明しています。9連覇したことは書きつつも、9連覇に至るまでに、東日本大震災のときの困難を乗りこえたことを中心に記事が書かれています。
写真も一人の選手に焦点を当てるのではなく、チームの多くの選手が写る写真を掲載しています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
⭐️ ⭐️
他の説明文の教材分析も併せてお読みください。
サツマイモのそだて方 教材分析063に進む(内部リンク)
「ほけんだより」を読みくらべよう 教材分析064に進む(内部リンク)
広告を読みくらべよう 教材分析065にすすむ(内部リンク)
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