「広告を読みくらべよう」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「広告を読みくらべよう」です。
広告を読みくらべよう:教材分析
🟠広告を読みくらべよう:教材分析
この教材は、東京書籍の4年生の教科書に掲載されている説明文です。
東京書籍の教科書では、2年から6年生にかけて2つのよく似た文章を読みくらべる教材を作成し掲載しています。
2年生では「サツマイモのそだて方」、3年生では「ほけんだより」、4年生では「広告」、5年生では「新聞記事」、6年生では「インターネットの投稿」を取り上げくらべています。
<作者>
「新しい国語」編集委員会・作
この説明文には、はじめの文章と2つの広告がありますが、どれも東京書籍の教科書の編集委員会により書き下ろされました。
《はじめの文章》
題名は、「広告を読みくらべよう」です。
<はじめとおわり>
○はじめ
・この文章では、次のように書き出しています。
わたしたちの身の回りには、さまざまな広告があります。
○おわり
・この文章では、次のような文章で終わっています。
それでは、次の二つの広告が、どのような人に向けられていて、どのようなくふうがされているのかをたしかめ、広告を作った人の意図や目的を考えてみましょう。
<形式段落>
① 身の回りには広告があり、商品の広告は買ってもらうために作られる。広告には意図がある。
② 広告は商品を売るため特長を伝える必要があり、色やレイアウトなどのくふうがされている。
③ 広告は、同じ商品でも、売る相手により、相手に合わせてちがうものを作ることがある。
④ このように、広告には作り手の意図や目的があり、それに合わせて表現をくふうしている。
⑤ 二つの広告を見て、くふうをたしかめ、作った人の意図や目的を考えてみよう。
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<意味段落>
ここでは、3
つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①段落:はじめ(序論)
わたしたちの身の回りには、さまざまな広告があります。商品の広告は、たくさんの人に買ってもらうために作られます。広告には、商品をどのような人に買ってもらいたかという意図があります。
②~③段落:なか(本論)
広告は、商品を売るために作られます。商品のよさを伝えるために、キャッチコピー、写真、色やレイアウトなどがくふうされています。また、広告は、売ろうとする相手により、ちがうものが作られることがあります。相手に合わせたメッセージを伝えることが大切です。
④~⑥段落:おわり(結論)
このように、広告には作り手の意図や目的があります。意図や目的に合わせて表現をくふうしています。広告を見るときには、作り手の意図や目的を考えましょう。
では、実際に、二つの広告を読みくらべて、どのようなくふうがされ、意図や目的があるのか考えてみましょう。
<大事な言葉>
広告、商品、意図、特長、キャッチコピー、レイアウト、くふう、メッセージ、表現、目的
<要旨>
この説明文では、広告が作られる理由が書いてあります。広告には、商品をたくさん売るという目的のために、さまざまな工夫がされています。また、広告には、売ろうとする相手により意図や目的が違うことがあります。実際に、広告を見て、確かめてみましょう。
《広告1》
「広告名」
家族の健康チェックに、やさしい体温計。
「商品名」
電子体温計、はかるくん
「伝えたい相手」
家族のみんな
「キャッチコピー」
どなたにも使いやすい
「商品の特長、すぐれているところ」
音と光の両方でお知らせ
検温わずか15秒
いつでも清けつ
「写真」
家族7人が楽しそうにしている写真
《広告2》
<広告名>
子どもの急な発熱に、やさしい体温計。
<商品名>
電子体温計、はかるくん
<伝えたい相手>
子どもをもつ親や保護者
<キャッチコピー>
すばやくはかれる
<商品の特長、すぐれているところ>
検温わずか15秒
いつでも清けつ
音と光の両方でお知らせ
<写真>
発熱している子どもと心配してよりそう母親の写真
<2つの広告に共通した表現の工夫>
「文字の大きさ」
いろいろな大きさの文字を使っています。一番伝えたいことは一番大きな文字を使い、細かい説明などは、小さい文字を使っています。
「写真」
広告を見る人の興味を引くように2つの広告とも広告の半分程度を写真にしています。
広告1では、「家族の健康チェックに、やさしい体温計。」ということを伝えるために、いろいろな年齢の家族7人の写真を載せています。
広告2では、「子どもの急な発熱に、やさしい体温計。」ということを伝えるために、発熱して少ししんどそうな子どもと、その子どもに心配そうによりそう母親の写真を載せています。
また、全体の色の配色も広告1では、一般的な青、広告2では、あたたかみを感じさせることのできるピンクをもってきています。
「レイアウト」
この電子体温計の3つの特長である「検温時間」「清けつさ」「音と光のお知らせ」の順番も違います。
広告1では、家族が対象なので、「音と光のお知らせ」「検温時間」「清けつさ」の順になっています。
広告2では、子どもが対象なので、「検温時間」「清けつさ」「音と光のお知らせ」の順になっています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
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他の説明文の教材分析も併せてお読みください。
ヤドカリとイソギンチャク 教材分析043に進む(内部リンク)
サツマイモのそだて方 教材分析063に進む(内部リンク)
「ほけんだより」を読みくらべよう 教材分析064に進む(内部リンク)
数え方を生みだそう 教材分析005に進む(内部リンク)
ウナギのなぞを追って 教材分析004に進む(内部リンク)
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