「たんぽぽのちえ」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「たんぽぽのちえ」です。
たんぽぽのちえ:教材分析
🟠たんぽぽのちえ:教材分析
この教材は、光村図書の2年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
植村利夫(うえむら・としお)作
瀬戸照(せと・あきら)絵
出典:この教科書のために書き下ろされてものです。
植村利夫さんについて
1909年(明治42年)に和歌山で生まれました。和歌山師範学校を卒業しています。しばらく、小学校の教員をされていました。
1935年(昭和10年)に東京に引越しました。1945年(昭和20年)4月には召集令状を受け、戦争に行かれています。
その後、東京都で、中学校の教員をされています。
1960年(昭和35年)には東京都文教区立文林中学校の校長として赴任されています。
蜘蛛の専門家としても知られ、日本蜘蛛学会の創立にも携わっています。
1988年(昭和63年)に亡くなれています。
<題名>
題名は「たんぽぽのちえ」です。
題名を見た時に、子どもの中には、自分がよく知っている黄色い花で、たんぽぽの綿毛で遊んだことがあると思う子どもがいるかもしれません。
そのたんぽぽにどのような知恵があるのかを知りたいと思う子どもも多いでしょう。
とても興味をひく題名です。
<はじめとおわり>
○ はじめ
最初に、「春になると、たんぽぽのきれいな黄色い花がさきます。」と書いています。
その後すぐに、花はしぼみ、色が変わり、じくがたおれることを書いています。
○ おわり
最後に、「このように、たんぽぽは、いろいろなちえをはたらかせています。そうして、あちらこちらたねをちらして、あたらしいなかまをふやしていくのです。」と書かれています。
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
<形式段落>
形式段落は、全部で10段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① 春になると、たんぽぽの黄色い花がさく。
② 二、三日たつと、花はしぼみ、黒っぽい色にかわり、じくはじめんにたおれる。
③ けれども、かれたのではなく、花とじくを休ませ、たねにえいようをおくっている。
④ やがて、花はかれ、そのあとに、白いわた毛ができる。
⑤ わた毛の一つ一つはらっかさんのようで、たんぽぽは、わた毛でたねをとばす。
⑥ このころになると、たおれていたくきはおき上がり、せのびするようにのびていく。
⑦ なぜかというと、せいを高くするほうが、わた毛を風でとおくまでとばせるからだ。
⑧ はれて風のある日、わた毛のらっかさんは、ひらいて、とおくまでとんでいく。
⑨ しめり気の多い日や雨の日はしぼむ。しめり毛でおもくなりたねをとおくとばせないから。
⑩ このように、たんぽぽは、ちえをはたらかせ、たねをちらし、なかまをふやしていく。
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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
<意味段落>
ここでは、3つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①段落:序論(はじめ)
春になり、たんぽぽが、黄色いきれいな花を咲かせることについて書いています。
②~⑨段落:本論(なか)
花のその後について順に書いています。花はしぼみ黒くなり、茎がたおれ、種に栄養をおくります。やがて花はかれ、綿毛ができます。茎は晴れた風のある日にまた高くせいをのばします。綿毛を遠くまで飛ばすためです。しかし、雨の日などには、綿毛はしぼみます。遠くまで飛ばせないからです。
⑩段落:結論(おわり)
最後に、このようにして、たんぽぽは知恵を働かせて、仲間を増やすことについて書いています。
<大事な言葉>
たんぽぽ、ちえ、しぼむ、じく、かれる、えいよう、太らせる、わた毛、らっかさん、しめり気
なお、私が子ども用に作っている「よみもの」で、「たんぽぽ」と「種を運ぶ」ことについて簡単な文を書いています。よければ、お読みください。
たんぽぽ dandelionに進む(外部リンク・よみもの)
種を運ぶ① Carrying Seedsに進む(外部リンク・よみもの)
種を運ぶ② Carrying Seedsに進む(外部リンク・よみもの)
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
<表現の工夫>
「比喩」
ここでは、比喩が使われています。
1つは、「綿毛を落下さん」にたとえていることです。
・このわた毛一つ一つは、ひろげると、まるでらっかさんのようになります。
もう1つは、たんぽぽが高く伸びることを「背伸び」とたとえていることです。
・そうして、せのびをするように、ぐんぐんのびていきます。
比喩的表現によって、説明されているものの理解がより容易になります。
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
「問いかけ」
この説明文では、1つの疑問を提示しています。
それまでたおれていた花のじくが起き上がり、せのびをするようにぐんぐんのびます。
・なぜこんなことをするのでしょう。
この問いかける言い方(疑説法)によって、読み手の知的欲求が高まり、その答えを知りたくなりますので、文章をさらに読みたくなります。
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
「対比」
この説明文では、2つの対比の表現が出てきます。
1つめは「じくが地面に倒れること」と「じくが高くせいを伸ばすこと」です。
前者は、種に栄養を与えるためにしていて、後者は、風で種を遠くまで飛ばせるためです。どちらも種のためにすることですが、一見すると全く反対の行動のように思われます。
2つめは「よく晴れて風のある日」と「しめり気の多い日や雨ふりの日」を比べています。
前者の日は、「わた毛のらっかさんは、いっぱいにひらいて、とおくまでとんでいきます。」
後者の日は、「らっかさんはすぼんでしまいます。」
対比する述べ方によって、説明対象であるたんぽぽの知恵である、綿毛が風によって運ばれるということが読み手によく伝わるようになっています。
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
「イラスト」
この説明文には、5枚のイラストがついています。
言葉で説明することに加えて、イラストがあることで、たんぽぽの様子がとてもよくわかるようになっています。
特に、綿毛の落下傘がしぼんでいることなど、イラストがあることでどのようになっているのかがよくわかります。
<要旨>
この説明文では、「たんぽぽは知恵を働かせて仲間を増やしている。」ということが説明されています。
花がしぼん後、様々な知恵があることが書かれています。たくさんの知恵によって、たんぽぽは、綿毛を風によって遠くまで飛ばして仲間を増やしていく。なんとも強くたくましい花だということがわかります。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
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なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
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他の説明文の教材分析も併せてお読みください。
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