「こまを楽しむ」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「こまを楽しむ」です。
こまを楽しむ:教材分析
🟠こまを楽しむ:教材分析
この教材は、光村出版の3年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
安藤正樹(あんどう・まさき)作
出典:この教科書のために書き下ろされたものです。
安藤正樹さんについて
1958年(昭和33年)に鳥取県で生まれました。尚絅学院大学の教授です。
大学では、体育学、体育教育、舞踊教育などを専攻されています。
民俗舞踊や伝承遊びや独楽回しなどに関心をもち、楽しんでおられます。
「独楽」(文溪堂・2002年)を書かれ、発行されています。
<題名>
題名は「こまを楽しむ」です。
題名を見た時に、子どもの中には、こま回しの楽しさを思い出す子どももいるかもしれません。
幼稚園や保育園、低学年の「生活科」などで、こまを触ったり、遊んだりした子どももいるかもしれません。
<はじめとおわり>
○ はじめ
最初に、「こまを回して遊ぶことは、昔から世界中で行われてきました。長い間、広く親しまれているうちに、こまには、さまざまなくふうがつみかさねられてきました。」と書いています。
その後、日本にはこまの種類が多いことが書かれ、どのようなこまがあり、どのような楽しみがあるのかが書かれています。
○ おわり
最後に、「このように、日本には、さまざまなしゅるいのこまがあります。」と書かれています。
そして、色も形も違うが、軸を中心に回るという作りは同じであることと、さまざまな工夫を取り入れて、こまをたくさん生み出してきたことが書かれています。
<形式段落>
形式段落は、全部で8段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① こまを楽しむことは世界や日本で行われてきた。日本にはどのようなこまがあるのか。
② 色がわりごまは、回るときの色を楽しむこまだ。
③ 鳴りごまは、回るときの音を楽しむこまだ。
④ さか立ちごまは、とちゅうで回り方がかわり、その動きを楽しむこまだ。
⑤ たたきごまは、たたいて回しつづけることを楽しむこまだ。
⑥ 曲ごまは、おどろくような所で回し、見る人を楽しませるこまだ。
⑦ ずぐりは、雪の上で回して楽しむこまだ。
⑧ このように、日本にはさまざまなこまがあり、さまざまなくふうを取り入れてきた。
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なお、この部分については、リライト教材として、漢字に読みがなをつけたものを、姉妹ブログの「よみもの」に用意しています。
こまを楽しむ・要点に進む(外部リンク)
<意味段落>
ここでは、3つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①段落:序論(はじめ)
世界では昔からこまを楽しんできたこと、日本にもたくさんのことがあることが書かれています。
②~⑦段落:本論(なか)
日本の6種類のこまについて簡単な紹介と、どのような特徴や工夫があるか書いています。
比較的簡単なこまから、複雑なこまになるように工夫されています。
⑧段落:結論(おわり)
日本にはさまざまなことがあり、さまざまな工夫を取り入れてきたことが書かれています。
<大事な言葉>
こま、くふう、表面、もよう、どう、くうどう、心ぼう、むち、曲芸、安定、くぼみ、わら、バランス、
<表現の工夫>
「問いかけ」
この説明文では、最初に、「日本は、世界でいちばんこまのしゅるいが多い国だと言われています。」と書き、2つの疑問を提示しています。
2つの疑問は、次の通りです。
・どんなこまがあるのでしょう。
・また、どんな楽しみ方ができるでしょう。
この問いかける言い方(疑説法)によって、読み手の知的好奇心が高まります。
「写真」
この説明文には、9セットの写真があります。
それぞれのこまについて写真がそえられていますので、文章だけよりもより分かりやすくなっています。
言葉で説明することに加えて、具体的的な写真があることで、それぞれのこまの性質や特徴がとてもよくわかるようになっています。
<要旨>
この説明文では、「日本には、いろいろな種類のこまがあり、さまざまな工夫を取り入れて、生み出されてきたこと」とが書かれています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
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他の説明文の教材分析も併せてお読みください。
ウナギのなぞを追って 教材分析004に進む(内部リンク)
数え方を生みだそう 教材分析005に進む(内部リンク)
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