説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのか

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説明文の教材研究をするのはなぜですか?

 説明文の教材研究の仕方について書いています。

 今回は、「なぜ教材研究をするのか」についてです。

なぜ教材研究をするのか

🟠なぜ教材研究をするのか

<教材研究の意味>

 今回は、説明文の教材研究をする意味について考えます。

 何のために教材研究をするのでしょうか。それは、子どもの実態と、教材の内容を考えて、どのような力を育てたいか考えるためです。

 学習指導は、①「子どもの実態」を考え、②「目標を設定」し、③「教材の価値・よさ」を考え、④「指導の方法」を工夫していくことが必要です。

 教材の価値・よさを見極めることが、教材研究の大きな目的です。

 国語科の説明文を教材とした学習指導案を見ますと、大きく2種類の指導案があります。

 1つは、「いろいろなふね」や「アップとルーズで考える」、「イースター島にはなぜ森林がないのか」というように主たる教材名をそのまま指導案の単元名(教材名と書く場合もある)にしています。

 もう1つは、「筆者の考えをとらえて、自分の考えを発表しよう」や「筆者の論の進め方を考えよう」というように主たる学習活動を単元名にしています。

 算数や理科の場合、教材名がそのまま単元名になることが多いのですが、国語の場合は指導者により単元名に揺れがあります。

 単元名をどのように書くかで指導者の思いがわかります。

<説明文で育てたい力>

 平成29年(2017年)に告示された小学校学習指導要領によりますと、「読むこと」の指導事項として「構造と内容の把握」「精査・解釈」「考えの形成」「共有」の4つが取り上げられています。

 そのうち、「構造と内容の把握」「精査・解釈」に関して、説明文の指導事項としてそれぞれ、次のように書かれています。

構造と内容の把握

 第1学年及び第2学年では,内容の大体を,第3学年及び第4学年では,考えとそれを支える理由や事例との関係などを,第5学年及び第6学年では,文章全体の構成を捉えて要旨を把握することを示している。

精査・解釈

 第1学年及び第2学年では,文章の中の重要な語や文を,第3学年及び第4学年では, 中心となる語や文を見付けること,第5学年及び第6学年では,必要な情報を見付けたり,論の進め方について考えたりすることを示している。

小学校学習指導要領解説 国語編

 そして、それらの指導事項は、言語活動を通して身につけるようにすることが大切だとして、次のような言語活動の例を示しています。

 第1学年及び第2学年:ア 事物の仕組みを説明した文章などを読み,分かったことや考えたことを述べる活動。

 第3学年及び第4学年:ア 記録や報告などの文章を読み,文章の一部を引用して,分かったことや考えたことを説明したり,意見を述べたりする活動。

 第5学年及び第6学年:ア 説明や解説などの文章を比較するなどして読み,分かったことや考えたことを,話し合ったり文章にまとめたりする活動。

小学校学習指導要領解説 国語編

 説明文の学習においては、これらの言語活動を通して、子どもたちに言葉の力を育てることが大切です。なお、ここに引用した言語活動は、あくまで一例であるとしています。

<単元構成を考える>

 私たち教員は、子どもにつけたい力を考え、その力を身につけさせるためには、どのような言語活動を行うと効果的か考えることが必要です。

 国語の学習は、指導者の教材分析の深さや、子どもがしたくなるような単元構成を考えることで、とても楽しい学習になります。

 教材研究を続けると、いろいろなことが発見でき、あれもこれもついつい教えたくなります。

 しかし、しっかりとした教材研究をしつつも、指導の際には、ぐっと我慢して、指導内容を絞って指導することも大切です。

 1つの教材で、たくさんの内容を指導するのではなく、学習が終わった後に、何を学習したのか、どんな力が身についたのということが、子どもたち自身にも実感でき、振り返ることのできる単元構成を考えることが大切です。

<具体的な単元構成例>

 東京書籍の3年生の教材に「人をつつむ形―世界の家めぐり」という説明文があります。

 ボリビアやルーマニアの家については簡単に、モンゴル、チュニジア、セナガルの家については詳しく説明されています。

 例えば、この教材を使い、次のような学習計画が考えられます。

 単元名は、「世界の家めぐり図鑑を作ろう」です

 1次:生活経験の中で不思議な家を見聞きした経験を話し合い、世界の家を調べて、世界の家めぐり図鑑を作るという単元の目標を確認する。

 2次:教材文を読み、「『家のつくり』と『地域の気候』には関係のあること」や「その関係から教材をリライトし、家の特徴や説明の仕方をみつけていくこと」などを行う。

 並行読書をしながら、世界の家の図鑑などを読み、「家のつくり」と「地域の気候」に関係する事柄にチェックをしていく。

 3次:自分の調べたい家について教材文の書き方を真似て、文章にまとめていく。学級で一冊の冊子にまとめ、「世界の家めぐり図鑑」をつくり、学級で読み合う。

 当然これ以外の学習計画が考えられますし、東京書籍では、全く違う単元指導計画を公開しています。

東京書籍の3年生の年間指導計画作成資料に進む外部リンク

 なお、「人をつつむ形―世界の家めぐり」という説明文の簡単な教材分析を次のところに書いています。

人をつつむ家ー世界の家めぐり 教材分析⑯に進む内部リンク

<まとめ>

 国語の学習は、指導者の教材分析の深さや、子どもがしたくなるような単元構成を考えることで、とても楽しい学習になります。

 学習指導は、①「子どもの実態」を考え、②「目標を設定」し、③「教材の価値・よさ」を考え、④「指導の方法」を工夫していくことが必要です。

 子どもの実態を一番よく知っているのは担任の教員です。その子どもに合わせて、学習の目標を設定し、教材研究をすることで、教材の何を活用し、どのように指導していくか単元の指導計画を立てることが大切だと思います。

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 なお、関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

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物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)に進む内部リンク

物語文の指導の仕方(1)に進む内部リンク

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